一般質問

31番藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)

○藤本眞利子君 こんにちは。

 ちょっと車椅子でこちらに運んでいただいたんですが、しばらくの間、御静聴よろしくお願いします。

 この間からの人間の可能性とか、挑戦することのすばらしさというふうなことを教えていただいたパラリンピックも終わったんですね。人間って、こんなふうに限界を超えられるんだなあというふうにも思って感動しました。

 皆さんは、「リアル」という漫画をお読みになったことあるでしょうか。「リアル」という漫画は、事故によって下半身不随になって自暴自棄になった主人公が、車椅子バスケットに出会うことで様々な困難に立ち向かっていく姿を描いている漫画なんですけど、もうすごく感動的な漫画でして、私、今まで漫画をいろいろ読んできましたけど、この「リアル」は一番だなあというふうに思っていますので、ぜひ皆さんも読んでください。

 8月の下旬に、ちょっとした不注意で左足足首にひびが入ってしまいまして、かれこれ3週間余りですか、大変不便な生活を強いられているんですけど、当初は痛くてどこにも行けませんでしたけど、まあ議会も始まりましたし、少しずつ回復に向かっているので、今日はこういうふうに登壇させていただいています。

 初めて車椅子という生活を体験させていただきましたので、少し余談ですけれども、ちょっとお話しさせてください。

 バリアフリーというふうに言われて久しいんですけど、生活の場面では、もう本当にバリアフリーになっている場所が少ないんです。そういうことを実感しました。自分の家でも、玄関から上り口、そして室内、そんなところに全部段差がありまして、もうともかく移動がほとほと困ったというふうなことでした。

 この議場も入れるかなあと大変不安に思っていたんですが、耐震の改修でその対応を取っていただいておりまして、こちらはバリアフリーで、ここまで車椅子が入れるというふうになっておりまして、大変ありがたいなあと思います。

 この際なんで、車椅子で庁内をずっと探索してみまして、車椅子でお越しになった県民の皆さんが、不自由なく各課室にというか、目的地に行けるかどうかをちょっとうろうろしてみました。

 そしたら、正面玄関はやっぱり使えないんですけど、駐車場で降りて西側通路から入館できます。だけど、ちょっと1人じゃ難しくて、やっぱりそんなときに手助けが必要だなあというふうに思いました。その後、エレベーターでも移動できますし、各階の通路も改善されていまして、どの課室へもスムーズに行くことができました。障害者用のトイレも整備されており、快適に使用することができるようになっています。

 ただ、県庁自体がもともと分かりにくい構造になっておりますので、迷子になりそうで、誰かのちょっとした手助けが必要だなあと感じました。

 私は、本当にたくさんの皆さんに助けていただきまして、もし県民の皆さんが車椅子でお越しになったときは、ちょっと声をかけてあげたりとか、ちょっとした手助けをしてあげるということがとっても助かるなあというふうに実感しました。

 県庁内はバリアフリーになっているんですが、一歩外に出るとバリアだらけですので、この点については、また、機会を改めて申し上げたいというふうに思います。

 それでは、議長のお許しを得ましたので、質問に入りたいというふうに思います。

 これは、黒田洋一郎さん、木村・黒田純子さんという両博士が2020年2月に出版された「発達障害の原因と発症メカニズム」という本です。(本を示す)著書の中では、発達障害の原因と発症メカニズムを脳神経科学から解明されており、予防、治療、療育の可能性を科学的知見とエビデンスに基づいて解明されています。

 黒田洋一郎博士は、もともと35年間、人の脳、殊に記憶、学習などの高次機能の分子(遺伝子)、それから細胞レベル、殊にシナプス可塑性の基礎研究を東京都神経科学総合研究所で行っていたそうですが、1990年前後から日本で行動に異常のある子供が増えていることに気づき、研究を始められたと書かれています。この著書の中で、両博士は、国内で発達障害が急増していることが社会問題になっていると指摘されています。

 黒田洋一郎、木村・黒田純子医学博士の指摘を受けるまでもなく、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が毎年実施している、通級による指導を受けている児童生徒数の推移という調査したグラフを今日は資料で出しているんですが、このグラフを見ていただいても、注意欠陥多動性障害、それから学習障害者、自閉症、情緒障害者の占める割合が、この10年間で2万1513人から9万1882人と4倍以上に増加していることが分かります。少子化が叫ばれ、小中学生、それから年々生徒が減少していることを思えば、この増加率は異常としか捉えることができません。

 私の校区でも、27学級ある学校ですが、特別支援学級が7学級もありまして、中学校においては、13学級中3学級が特別支援学級というふうに、もう過去に比べてその多さに驚きます。しかも、その特別支援学級の中身は、こういった発達に問題のある子供たちが占めているということであります。自分たちの周りでも実感として、そういった子供たちが増えているんじゃないかなあというふうなことが思われるわけです。

 博士が指摘されていることに、発達障害者急増には原因があるというふうに指摘されています。もともと疾患は、遺伝と環境が関わっており、発達障害にも遺伝的要因があるのですが、「このような急増は遺伝的要因だけでは考えられない」というふうにおっしゃっています。遺伝子が、日本人全体で短期間に変わるわけはありません。そうすると、環境要因が大きいと考えられます。環境要因であれば、変えることができます。そのことが、私は大変重要だというふうに思います。

 この50年、60年で、合成農薬、環境ホルモンを含むプラスチックなど、有害な環境化学物質が急増しています。学術論文でも、発達障害の原因になる可能性のある農薬や有害化学物質など、環境要因が発表されています。

 様々な環境要因の中でも、今回は農薬について少し御説明したいと思います。

 2012年、米国の小児科学会は、子供の農薬暴露による発達障害や脳腫瘍へのリスクについて、228編もの論文を引用して正式声明を出し、農薬暴露の危険性を警告しています。一つは、農薬などの環境化学物質が、子供の脳の発達に重要な遺伝子発現を攪乱することが実証されてきた。二つ目は、疫学研究でも、農薬の環境化学物質暴露と発達障害の相関関係を示す報告が集積されてきたことが挙げられます。

 次の表を見ていただきましたら、このデータは全く独立しておりまして、次のデータですが、右と左は全く違うところでつくられたものなんですが、右側のほうはOECDで、農薬使用量と自閉症の国際専門誌で発表されたデータをまとめただけのものです。

 これは、自閉性障害者及び広汎性発達障害の有病率と農業の人体汚染度の指標である単位面積当たりの農薬使用量を国別に比較したものですが、世界の先進国と言われる国で有病率に大きな差があります。農地面積当たり農薬使用量と見比べてみると、単位面積当たりの農薬使用量が世界1位と2位である韓国と日本が、自閉症の有病率でも、共に世界1位、2位となっています。農薬使用量が多い国順に自閉症の有病率が一致しているという、そういったデータであります。

 博士は、「農薬汚染は、一番脆弱な人の子供の脳の中で高次機能の発達を侵害し、自閉症など発達障害児の増加をもたらし、主な原因の可能性がある。これは偶然の一致とは思えない」とおっしゃっています。このデータをさらに統計学的に回帰分析し、両者を対数表示すると一直線できれいに近似され、自閉症と農薬使用の相関は確かなものになったというふうに、この本の中では述べられています。

 令和3年5月、農水省は、みどりの食料システム戦略を発表されまして、そこでは、ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発により、化学農薬の使用量の50%低減を打ち出しました。通称「ネオニコ農薬」の問題点は、これ水溶性でして、種子内部に浸透して、その農薬が成長した後も葉っぱとか茎にも広がって、殺虫効果が持続する浸透性農薬という点であります。洗えば落ちるという農薬ではなくて、その農薬をかけられた野菜なりが、毒が浸透されて、それを食べてしまうということが言われているんです。

 欧州食品安全機関は、ネオニコ農薬は発達神経毒性を持つ可能性があり、規制を強化すべきという科学的見解を発表しています。日本では、2050年度までに化学農薬使用量を50%低減すること、2050年度までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量30%の低減も盛り込みました。

 有機農業の達成目標として、EUでは2030年までに25%、日本は2050年までに25%としています。国が持続可能な農業にかじを切ったことは評価したいと思いますが、新たな農薬の開発や有機農業の25%達成がEUより20年も遅れることは、納得できない面もあり、個々には手放しで喜べないと思っています。それは、一刻も早い対応が求められていると思うからであります。

 「発達障害の原因と発症メカニズム」を執筆された黒田洋一郎、木村・黒田純子博士によると、日本では、その毒性から欧州ではほぼ禁止されている有機リン酸系農薬でさえ、減少しているが、いまだに使用されている。それに代わるネオニコ農薬の使用量は増加の一途である。2006年の論文では、日本の児童の3歳児の尿の検査で、約80%がネオニコ農薬に、100%が有機リン酸系農薬、ピレスロイド系農薬に汚染していたと記述されています。未来を担う子供たちが被るであろう脳の健康に関わる重大なことなので、持続可能な農業をどうしていくかという前に、今、予防原則に基づいた規制を行う段階にあると考えます。

 本質問では、県独自の規制まで踏み込みたいところではありますが、国のみどりの食料システム戦略をどう進めていくのかという議論の中で、ぜひこの点についての議論をしていただくことを要望しておきたいと思います。

 それを踏まえまして、まず、環境保全型農業の推進に向けた取組についてお伺いします。

 有機農業推進法が平成18年度に制定され、15年が経過しています。それに基づき、推進計画が策定されています。

 県として、有機農業を推進するために、一体これまでどのような取組をされてきたのか。有機農業に取り組む農業者の数や農地の面積は増加しているのか。有機農業を行う生産者にどのような支援を行ってきたのか。有機農業の推進に関するこれまでの県の取組について、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 食の安全・安心や環境に対する意識の高まりを背景として、国内の有機食品の市場規模は拡大傾向にあり、本県では、和歌山県有機農業推進計画に基づき、農業者が有機栽培を含めた環境保全型農業に取り組みやすい環境づくりを推進しております。

 具体的には、環境保全型農業を進めていく段階として、県の慣行栽培基準に比べ、化学肥料、化学合成農薬の3割程度の削減を目標とするエコファーマー認定制度、5割以上削減を実践する特別栽培農産物認証制度、さらに、化学肥料、化学合成農薬を一切使用しない有機JAS認証の三つの制度を推進しております。

 また、環境保全型農業の実践者や興味を持つ農業者、JA、行政担当者等を対象に、県内各地域に設置した実証モデル園での技術交換会や、専門家を招いての土づくり研修会等を開催し、栽培技術の向上と普及に取り組んでおります。

 さらに、国の環境保全型農業直接支払交付金事業を活用し、有機農業や化学肥料、化学合成農薬の5割以上の低減と併せて、草生栽培などに取り組む農業者を支援しております。

 こうした取組の結果、10年前に比べ、本県の有機JAS認証の農家戸数は、約1割増えて101戸となり、また、栽培面積は約2倍の97ヘクタールに増加しております。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 すみません、議長、このままで。

○副議長(鈴木太雄君) そのままでどうぞ。

○藤本眞利子君 着座のままでお願いします。

 国内の有機食品というか、市場規模が拡大傾向にあるということですが、全体から見るとまだまだ少ない。これまでの取組の結果は、農家戸数がちょっと1割増えました。栽培面積は2倍の97ヘクタールということになりましたと御答弁いただきましたが、日本全体を見ると、有機農業の取組面積というのは、耕作面積のまだ0.5%ぐらいというふうにちょっとお聞きをしております。みどりの食料システム戦略の中では、この有機農業を2050年度までに25%にしていきたいとしているんですよね。そういった目標もやっぱり視野に入れて、新たな計画が必要だなあというふうに思います。

 それで、今回改定するというふうに伺っている有機農業推進計画のことについて、お伺いしたいというふうに思います。

 今年度、有機農業推進計画を改定するというふうにお聞きしておりまして、有機農業をさらに推進していくために、計画を改定していただきたいなあというふうに強く願っています。

 計画を改定するに当たっては、有機農業を推進するために、行政だけで策定するのではなくて、JA等の関係者はもちろんですが、有機農業生産者、学識経験者、学校関係者などの意見が反映されるような取組が必要と考えます。

 次の5年後の改定時まで数値目標を示すなど、具体的な取組を進めていけるような計画にしていただきたいと思いますが、今後の県の取組について、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 国においては、令和2年4月に、有機農業の推進に関する法律に基づく「有機農業の推進に関する基本的な方針」を新たに示すとともに、令和3年5月にはみどりの食料システム戦略を策定し、有機農業の取組面積を評価指標とするなど、今後、有機農業を一層推進することとなっております。

 現行の和歌山県有機農業推進計画は、平成26年10月に策定したもので、有機農業を取り巻く状況も変化していることから、本年度、計画を見直すこととしております。

 見直しに当たっては、県内の有機農業実践者や有識者の意見を積極的に把握するとともに、関係機関と協議を行い、栽培技術の習得や有機農産物の販路拡大、消費者の啓発など、生産から消費拡大までを視野に入れた、本県の実情を踏まえた計画を策定したいと考えております。

 今後、新たな計画に定める数値目標等に基づき、生産者やJA、市町村と連携を図りながら、有機農業の推進に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 今も御答弁で、改定するに当たっては、有機農業実践者とか有識者の意見を積極的に把握していただいて、関係機関と協議して策定していきたいというふうな御答弁をいただきました。

 推進計画を改定するための協議で終わるんではなくて、推進計画を改定したら、それを進めていかなくちゃいけないわけで、今後、有機農業を推進するために、やっぱりどんなにしていくかというふうな協議会を設立して、定期的にやっぱり今はどうなっているんだというふうな話合いを重ねていきながら、具体的に取組を一歩ずつ進めていっていただきたいなあというふうに強く要望しておきたいと思います。また、このことはまたの機会に譲ります。

 次に、この有機農産物を含めた地場産の農産物の学校給食への利用促進について、お伺いしたいというふうに思います。

 このことは、以前、鈴木議員さんも有機農産物の学校給食の質問をされたかと思うんですが、私も、昨年2月の議会において、私は除草剤のラウンドアップの主成分グリホサートの危険性を指摘させていただきまして、各国ではグリホサートの規制が進んでいますが、日本ではまだ残留農薬の基準を逆に緩和したというふうに聞いているんです。

 その質問の中で、「県下の小中学校、特別支援学校で使用される食材は、少しでも安全な有機食材を使っていただきたい」というふうに申し上げました。県下の子供たちが毎日食べる給食が有機野菜に変わることで、子供たちの農薬暴露が少しでも低減されることと信じるからです。食材の調達は、各市町村というより、各学校に任されている点も考慮して進めなければならないことは百も承知の上、どうすれば一歩でも前に進めることができるのか、私たち大人が真剣に考えていかなければならない問題だと思います。

 今治市では、1983年、40年も前から地産地消の学校給食をベースに、できることから一歩ずつ着実に実現を図ってきたそうです。今治市では、地産地消を進めると同時に、有機農業の普及に尽力され、有機野菜の使用率を35.8%まで引き上げています。現在、学校の食材の地産地消率は、米が100%、パンが60%、また、今治産有機野菜が35.8%、今治産一般野菜が29%というふうになっているそうです。お豆腐やうどんなど加工原料も徐々に地元産に切り替えて地産地消率を高めているそうであります。今治市の取組は、40年にわたる積み重ねの結果でありますが、その積み重ねの中に大きなヒントがあるように思います。

 今治市では、有機農業推進法が施行され、有機農業推進計画を策定するに当たって、有機農業を容易に取り組めるような施策、できた作物の流通を進める施策、消費者が入手しやすいような取組などを具体的に進め、その計画の中に学校給食に有機農産物を導入することを明示されました。そういった取組の成果は、学校給食だけではない医療施設、介護施設、飲食店などにも波及し、市民活動としての地産地消、有機農業への取組として表れています。

 2021年度からの第3次計画では、さらに有機農業の新規担い手の確保、安定的な品質・収量を確保できる生産技術の定着、有機農産物の消費拡大に重点を置いた計画の実現を図ることとなっています。法律は、活用しなければただの枠でしかありませんが、今治市では、この有機農業推進法を武器に新たなビジョンを示すまちづくりを発信しています。

 国では、食育基本法には、地産地消を推進するために、学校給食に地場産物を使うように推奨しています。食育基本法の第4次の計画では、学校給食地場産物使用促進事業を予算化し、盛り込みました。

 そこで質問です。

 先ほどから、農薬が子供の脳の発達に影響を及ぼしているであろうと申し上げてきました。県として、地産地消を進めると同時に、有機農産物を学校給食に導入することについて、どのような見解をお持ちなのか、また、有機農産物を含めた地場産農産物の学校給食への利用促進のためにどのような取組を進めるのか、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 有機農産物を含め、地場産農産物を学校給食へ利用を促進することについてお答えいたします。

 県では、地産地消や食育の一環として、郷土の農林水産業や特産物などへの理解を深めることは大切であると考えており、学校給食における地場産農産物の利用率向上を目指して、平成29年に学校給食アクションプログラムを策定し、県教育委員会と協力しながら様々な取組を実施しております。

 しかし、学校給食には、一定の財源の中で食材の必要量を確保しなければならないといった調達面での条件があり、地場産農産物の価格面や供給量が折り合わないなど、その利用は伸び悩んでいるのが実情です。

 県では、このような課題に対処し、地場産農産物の利用の向上を図るため、市町村において、学校給食と農業の関係者で構成する協議会の設立を推進してきました。その結果、現在、県内の7市町で協議会が設立されており、協議会からの働きかけにより、学校側の提案に基づき地元農家が農産物を生産し、直売所等を通じて供給する仕組みができたことで、地場産農産物の利用が進んでおります。

 引き続き、こうした協議会の設置を各地域に広げ、地場産農産物が学校給食で円滑に利用される仕組みを構築するとともに、有機農業の振興を図ることで、議員御提案の学校給食での有機農産物を含めた地場産農産物の利用拡大を目指してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 本日、傍聴席のほうにたくさんのお母さん方が来られておりまして、このお母さん方は、子供たちに少しでも食の安全を進めていただきたいというふうな気持ち、そんな気持ちを持って、今回「食のことを聞くよ」というふうな声をかけさせていただいたところ、傍聴にお越しになった方々です。

 それで、食の安全に関する意識というのは年々高まっているように思います。今日お越しになった方の中には、無農薬で栽培した小麦でパンを焼いて学校給食に提供しているような方々もおられますし、月に1回でもいいんで有機農産物を使ってくださいというふうに、学校へお願いに行っている方もいらっしゃいます。体というのは食べ物でできているのだから、せめて、まあ大人はいいとして、成長する子供たちには少しでも安全なものを提供してほしいというふうに一生懸命運動されている方々が、今日の傍聴席にいらっしゃっているわけです。それほど、そのことについての関心が高いということを、まず、ちょっと県当局にも分かっていただきたいなあというふうに思います。

 価格面とか供給面で折り合いがつかないので、なかなかこういう利用が伸び悩んでいるというふうな答弁をされました。今後は、学校給食と農業関係者で構成する協議会を各地域に広げて、地場産農産物が学校給食で円滑に利用される仕組みを構築していきたいというふうにおっしゃっていただきました。

 そこで、各地域で協議会を設置していくことと並行して、先ほど言われた有機農業の推進計画のほうにも、学校給食に有機農産物を導入するというふうな、流通を促進するという意味も含めた項目を盛り込んでいただきたいなあというふうに思っているんです。そうすることで、結局、一つの課室で対応するんじゃなくて、横断的な取組が進むんじゃないかなあというふうに思っておりますので、この点については今回要望にしますけれども、また次回に取り上げたいと思います。

 できない、難しいという発想じゃなくて、どうやったらできるんだろう、子供らのためにどうやったらできるんだろうというふうなことを常に考えて、私は施策を進めていただきたいなというふうに強く願っています。この問題については以上です。

 次の質問に入りたいと思います。

 今度は、学校における法務相談の体制の充実についてお伺いしたいと思います。

 2018年に、日本弁護士連合会より、スクールロイヤーの整備を求める意見書が文科省に提出されたことをきっかけに、文科省も、2020年度より全国に300人のスクールロイヤーを配置する予算を確保いたしました。

 スクールロイヤーとは、ちょっと聞き慣れない言葉でありますが、教育に関して法的な解決を助言していただく弁護士を指しています。学校では、いじめ、不登校、体罰、事故等、日々の様々な問題が発生しています。しかも問題は、ますます深刻化、多様化しているのが現状です。

 最近でも、生徒同士のいじめ問題で、被害者の家族が加害者生徒を訴えて賠償金を請求するといった事例がありました。いじめについては、当事者、担任、保護者を交え、話合いを持って、指導したのはもちろんですが、それでは解決できなかったということです。被害者の気持ちも理解できます。一昔前やったら、弁護士を介して解決を図ろうという事例は少なかったように思うんですが、今は保護者の強い要求や要望が多様になって、いろんな問題が、弁護士に相談しなければならないという問題が増えているように思います。

 教員の人格にまで踏み込んだ事例もあると聞いておりまして、ある学校では、保護者が毎日学校に来られて、授業への介入や批判を繰り返したり、SNSで保護者同士が連絡を取り合いながら、教員を対象に個人攻撃をしたりするなど、学校が対応に苦慮している事例もあるようです。

 新潟市では、平成30年9月より、正式にスクールロイヤー制度を導入しています。教育委員会が窓口になっての相談はもちろんですが、学校からダイレクトにスクールロイヤーに相談できる仕組みを構築していることが特徴です。現場の声として、「学校がトラブルに直面したとき、早い段階からスクールロイヤーに相談することによって問題が整理され、解決のための手助けになった」、「学校ダイレクト相談という形態をつくってもらって、迅速に相談できるようになったのはよかった」等々、寄せられているということです。

 そこで、教育委員会として、スクールロイヤーに象徴されるような学校における法務相談体制はどうなっているのか、教育長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 今日、学校が対応している事案は多様化、複雑化しており、法務相談の必要性が高まっています。

 そのため、県教育委員会では、平成25年度から、学校だけでは解決することが困難と判断された事案について、対応策を検討し、助言する学校サポートチームを設置し、対応を行ってまいりました。

 令和2年度からは、直接的な助言や指導を行う機能を持たせたタスクフォースへと発展的に改編し、学校からの身近な相談や緊急の問題に対し、弁護士や臨床心理士、社会福祉士、教員経験者などの専門家チームが迅速な事案の解決に向けた支援を行っています。

 事例として、SNSに端を発する生徒間のトラブルが複雑化し、解決の糸口を見いだすことが困難な場合、弁護士と臨床心理士を派遣し、法的な助言や当該生徒、保護者を含む関係者への心理的なサポートに対するアドバイスを行います。専門家チームによるこうした多面的な支援は、問題の早期解決や学校の対応力向上につながっています。

 県教育委員会では、県立学校や市町村教育委員会がより身近に相談できるよう、校長会や教育長会等を通じて、タスクフォースの活用について周知を行ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 昨年度から、タスクフォースを設置されて取組を始められているということです。

 学校でいろんな出来事が起こりますよね。今起こったことをすぐに相談できるというふうな、そんなことが求められていると思うんです。週に1回でも、そういった弁護士さんでも巡回してくれたらありがたいなあというふうな声も聞かれます。でも、タスクフォースということをつくっていただいたので、周知をしっかりしていただいて、どんなことでも相談ができるよというふうな体制を整えていただけるようにお願いして、この問題を終えたいと思います。

 最後に、GIGAスクールの構想について要望させていただきます。

 GIGAスクール、いろんな議員さんからもいろいろと御意見があったんですが、ちょっと私も要望したいというふうに思います。

 今さら言うまでもありませんが、GIGAというのがGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、全国の小・中学校の児童生徒に1人1台のパソコンと、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備して、多様な子供たちに、個別最適化された創造性を育む教育を実現しようというふうな構想でした。

 2019年度から5年をかけて行われる予定だったGIGAスクールの構想は、コロナ禍の影響で前倒しされまして、2021年の現在、県内全ての学校の児童生徒にパソコンが配付され、学校の通信ネットワークも整備され、授業や家庭学習に活用できる条件が整い、今に至っています。しかし、急を要した整備で、生徒も教師も保護者も、その変化に追いつけないでいる現状があちこちで散見されます。

 デジタル庁、これ、まだ準備中ですけど、このデジタル庁が7月1日から7月31日まで、GIGAスクール構想に関する教育関係者の皆様へのアンケート及びタブレットについてのアンケートが実施されまして、何と総回答数が26万件、もうすごい数が取りまとめられまして、9月3日に公開されています。

 全国から26万件もの回答が寄せられた背景には、急ごしらえのため、様々な面でまだまだ改善していかなければならない課題が多々あることを私は表していると思います。また、回答を見る限りでは、県下の状況も同じようなもんだなあというふうに実感しました。

 中でも、よく言われるのは、各学校にICT支援員を配置していただきたいということです。現状は、ICT支援員がそんなに各学校にいないので、オンライン授業の際の設定とか、そういうのがうまくいかなかったときなどに、そんなときは、専門的な知識のある先生もいらっしゃるので、そうした特定の教職員の方に業務負担が偏ってしまうという現状があるんですね。私なんか全然駄目ですから、多分その先生に頼ってしまうというふうに思うんですが、その先生も自分の授業をほっとくわけにもいかないので苦慮しているというふうに聞いています。

 それから、教科でのICTの効果的な活用方法が分からないという回答も多くて、教職員に向けての研修もされていると思うんですけど、もっと必要があると思います。日々の授業の準備だけでも大変な状況で、これをどんなふうに進めていくか、今後、教育委員会にもしっかり課題として受け止めていただきたいというふうに思います。

 それから、教職員のタブレットが1人1台ないんですよね。生徒にはあったんですけど、先生にはないんです。だから、教職員は、昔からの古い、成績のそういった処理をする、パソコンは持っているんですけど、生徒の端末と違っているので、もうすごい指導がやりにくいというふうな話も聞いています。先生にもぜひ、これ、生徒と同じようなものを配付していただけたらなと思っています。

 それから、全ての学校にネット環境が整っているわけでなく、これはよく言われています。各児童生徒の家庭の事情が違うので、教育格差が広がるんじゃないかというふうな懸念が拭えません。

 それから、授業中に端末を利用するんですが、休憩中にアニメとかゲームとか動画サイト、こんなのを見ることが可能なために、そんなものを見ているわけですね、生徒たちは。そんなときに、情報モラルとか情報リテラシーの周知、どんなときにそれを使って、これは、YouTubeばかり見ていたらあかんぞということを、そういうこともやっぱり指導しなくちゃいけない必要があるんじゃないかと思いました。

 このGIGAスクール構想については、もうこの26万件のアンケートをいただいて、関係大臣から共同のメッセージが出されております。これは、「子供達一人一人のニーズに合った教育の実現や非常時における学びの保障には、教職員や保護者のみならず、各自治体、民間事業者など幅広い関係者による、ハード・ソフト・人材一体となった環境整備が不可欠です。これからも、より一層の御協力を心からお願い申し上げます」というふうな共同メッセージも出されております。

 そういうことで、教育委員会には、県下の現状をやっぱりしっかりと把握していただいて、引き続き、国にしっかりとやっぱり要望を上げていただいて、予算をしっかり獲得していただいて、先生たちが、この問題だけじゃないですけど、教育活動にしっかり専念ができる仕組みづくりを進めていっていただきたいというふうに要望いたします。

 つくづく教育のスキルというか、やり方が全然違っているなと実感しておりまして、そのうち、今日のこういった要望とかも過去のものになっていく時代が来るんかなあと。それから、GIGAスクール構想なんていうことを言わなくても、こういったことが当たり前の時代になっていくんだろうなあというふうに思っていまして、すごい転換の時代がやってきたなあと思っているんです。だけど、ICTというのはあくまでも手段ですよね、手段。それを使いこなすことによって一人の人間を育てていくという、教育というのはそういうことですから、そこはしっかりとやっぱり押さえながら教育を進めていただきたいなあということをお願いして、今回の質問を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。

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