一般質問

質問1. 中国との友好連携に基づく交流について

北京2022冬季オリンピックも閉会し、日本勢の活躍に大きな声援が寄せられました。

一昔前、冬季オリンピックといえばスキージャンプやアルペンスキー―、フィギアスケートを思い浮かべましたが、近年はカーリング、アイスホッケー、スノーボード等多様な競技での活躍が目立ったオリンピックでした。

私は、奇しくも新型コロナウィルスに感染し、自宅療養をしておりましたので、いつもよりはオリンピックをゆっくり楽しむことができました。

今回は隣国である中国との友好について質問したいと思います。

1972年9月29日当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相は、北京で共同声明に署名、「恒常的な平和友好関係を確立する」ことで一致しました。これが、いわゆる日中国交正常化です。

この共同声明は、今読み返しても画期的な内容となっています。

「日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。

両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している、戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一ページを開くことになろう。

両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、また、アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである。」

としています。

この一文を見ても、この当時にあっては画期的な共同声明であります。

共同声明では9項目にわたって声明を発表しており、今懸念されている尖閣の問題、台湾の問題についても明確に示しています。

第6項に主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。

全ての項目をご紹介できませんが、この当時ここまで踏み込んだ内容が共同声明に盛り込まれたことは、日中両国の国交正常化を強く切望したことの表れであると思います。

その後1978年8月12日に日中平和友好条約が署名され、両国は新たない1ページを開くことになります。

本日このようなお話をさせていただくのは、日中国交正常化から今年は50年という節目を迎えるからであります。

この記念すべき節目に、これをお祝いするマスコミの声も小さく、ともすれば台湾問題や尖閣諸島問題ばかりがクローズアップされる昨今において、中国との友好問題は、今一度原点に立ち返る必要があるのではとの思いから質問いたします。

その当時、和歌山県は1972年国交正常化が行われる以前より、中国との交流を頻繁に行っていました。国交正常化後は当時の大橋正雄知事を先頭に日中友好議連の訪中団をはじめ、数多くの県民が訪問し、中国より熱烈歓迎を受けています。

そのような中、1974年「和歌山県日中友好青年の船」が派遣されました。

国交正常化にはなったものの、まだ、「日中平和友好条約」が署名されていない4年も前の1974年のことです。

参観訪問と友好交流を通じて中国の歴史と現状への理解を深め、善隣友好の精神を涵養するとともに、和歌山と中国の友好の絆を一層強め、郷土の建設に意欲を燃やす青年リーダーの育成をはかり、青年和歌山の躍進に寄与することを目的としていました。

大橋正雄知事を団長に県議会からも4名の議員が参加、青年400人と事務局を合わせて440人あまりの団体が組織され、和歌山港から日本丸に乗船し一路上海にむけて出航したのです。

これだけの人数で中国を訪問するという事は日本でも初めてのことでした。

その当時の大橋正雄知事の英断は、今もって称えられるべきもので、和歌山県にとっても誇らしい歴史だと思います。

私も市子ども会連絡協議会からの推薦で、多くの仲間と一緒にこの日本丸に乗り込みました。

船中では、1班20名に分かれ、中国の歴史、中国語、中国の歌の練習、団員同士の交流など一日中スケジュールが組まれ大変忙しかったこと思い出します。

上海港に接岸した時の感動は、48年たっても忘れられません。

港一杯に埋め尽くされた群衆と、大太鼓、かねの音が響く中、赤いネッカチーフを巻いた子ども達の「熱烈歓迎」の大合唱で迎えられ、私たち一行は大いに胸を熱くしたのでした。

その後各班に分かれ、学校、病院、福祉施設、工場、人民公社、史跡など各方面の参観と交流を行ったのでした。

上海から天津、そして北京と訪問し大きな成果をあげ、和歌山港に帰ってまいりました。

今、大変懐かしく思い出しお話しているのは、48年たった今日、この日中友好青年の船が県と中国とのその後の友好の礎となっていると思うからです。

その後、様々な先輩の皆さんのご尽力で和歌山県と中国の友好は続いています。

何度となく先行きが不安になった時も、「こんな時だからこそ交流を途絶えさせてはならない」とお話された先輩もおられました。

私も市会議員、県会議員と活動させていただきながら何度も中国を訪問させていただき、友好を深めてまいりました。

財務省の貿易統計によると2020年の日本の貿易における中国の構成比は、輸出が22.1%前年比3.0%上昇。輸入は25.7%で2.2%上昇したと報じています。

経済の面から見ても、中国は最も重要なパートナーと言えます。

また、2018年10月に安倍総理は訪中した際、習近平国家主席、李克強国務院総理と首脳会談を実施したほか、12本の国際約束・覚書の署名が行われるなど、政治・安全保障、外交。文化・国民交流などの様々な分野で数多くの成果が上がりました。

外務省のホームページでは、政治的互恵関係の醸成、海洋安全保障、分野における協力および信頼醸成、経済分野等における実務協力の推進、対中ODAに代わる新たな協力、国民交流促進・領事分野の協力、地域・国際情勢などについて合意しています。

このように、日本と中国の関係は50年にわたり、事あるごとに相互の努力が続けられています。トランプ前大統領が仕掛けた米中貿易摩擦問題を発端とした今日の米中関係に振り回されることなく、私は、日本として日中関係を安定的に発展させることが大変重要と考えます。

そこで、まず部長にこれまでの中国と交流について、お伺いします。

次に知事に今後の中国との交流についてお伺いします。

和歌山県には今まで井戸を掘り努力をしてきた先人の方々が大勢おられます。その皆さん方の努力を無駄にしないためにも、地方から日中友好を進めるべきだと考えています。

現在、コロナ禍が世界を席巻している状況で、今すぐ交流は難しいと思いますが、コロナの収束を見据え、知事は和歌山県として中国との関係をどのように捉え、発展させようとお考えなのか、見解をお伺いします。

答弁者 企画部長

和歌山県は、これまで中国の山東省及び四川省と友好提携を結んでいるほか、清華大学等と交流分野を特定した覚書を締結し、双方にとって有益な関係を構築してきています。山東省との交流事例といたしましては、環境分野では、2008年から2013年までの間、大気汚染等をテーマに技術者の派遣や研修団の受入れを実施してまいりました。また、福祉分野では近年中国で急速に進んでいる少子高齢化を踏まえ、高齢者介護サービスに関するセミナーを開催する等の協力を行っております。 また、四川省とは、白浜アドベンチャーワールドと成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地のジャイアントパンダ日中共同繁殖研究がきっかけとなって、2020年3月に同省と友好交流 関係の発展に係る覚書を取り交わし、交流を開始しました。その後、青少年、防災・減災等の分野で積極的にオンラインを活用した交流を重ね、こうした交流が実を結び、本年1月、友好県省関係、この県省の県は和歌山県の県、省は四川省の省でご ざいます。友好県省関係の締結に関する議定書の調印式を開催し、友好提携に至りました。加えて、2021年11月には、世界トップクラスの教育水準を有する清華大学と主に人材育成を目的として、包括交流に向けた覚書を締結したところでございます。

答弁者 知事

和歌山県と中国は、古くからの往来の歴史がありまして、秦 また、今日における和歌山県と中国との友好関係は、議場に の始皇帝の命を受け不老不死の仙薬を探すため熊野を訪れたと 伝えられている徐福伝説、中国から渡来し紀三井寺を開創した為光上人、遣唐使として中国に渡った弘法大師空海、金山寺味噌、醤油の発祥、尺八、虚無僧文化、いろいろと深い関係を持っています。

また、今日における和歌山県と中国との友好関係は、議場にも会長がいらっしゃいますけれども、和歌山県日中友好協会をはじめとした多くの方々が、ずっと日中友好の発展のために長く努力されてきた結果であると認識しております。

この友好関係を継続し、さらに発展をさせていくことが私の務めというふうに思っておりますが、就任以来、友好機関等と具体的な相互協力をしていった方が良いなと、単なる交換とか乾杯とか仲良しとかよりも良いなと思いまして、特に山東省とは環境協力、人材育成協力、それから最近では高齢者福祉協力等を具体的に展開しているということでございます。

特にそのうち、公害防止については、和歌山県の経験とか技術、和歌山県も昔それで苦しんだわけでございますので、そういうことを積極的に移転をいたしまして、それで最近は山東省はどうも空気がきれいになってきたじゃないかというふうに思うわけであります。山東省の方々からは、和歌山県のおかげだとそこまでは言ってくださらないのですけれども、私は絶対これは効果があったはずだというふうに実は心の中では思っております。 

また、中国語を身につけて、中国の政治、経済、文化などに精通した人材を育成するということが重要でありますから、2009年以降、山東省との友好提携に基づきまして、続々と若手職員を派遣させていただきまして、それで中国語のよくできる職員が今まで11名派遣されたということで、今後も続けていく予定でございます。 

今後の中国との交流については、それぞれ友好提携先があるのですが、山東省とはこれまでに築き上げてきた信頼関係を踏まえて、先方のご要望を踏まえ、高齢者福祉分野を中心に実務的な交流を進めていきたいと考えております。また、四川省とは、本年、友好提携を締結したところでございますが、パンダの研究交流はもちろんですが、防災・減災、それから観光、経済貿易といった幅広い分野で交流を行って、信頼関係を築いてまいりたいと思っております。加えて、中国一ともいってよい、清華大学とは昨年協力の覚書を取り交わしたところでありまして、これを活かしてさまざまな学術交流や、あるいは次世代を担う青少年の交流に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

本年は、日中国交正常化50周年の節目の年でございます。 和歌山県としても中国との良好な友好関係を途切れさせることのないよう、未来に繋げてまいりたいと思っております。

再質問

中国との交流について

ご答弁、ありがとうございました。

先日も清水小学校と中国の山東省済南外国語学校開元国際分校とオンラインで交流するというお知らせをいただきました。

和歌山県では、これまでも小学校、中学校、高校、大学も含めて山東省・四川省との交流を進めておられます。

経済界との結びつきも深く、今後はさらに日中友好が発展することを期待しています。

よろしくお願いします。

質問2. 児童相談所の体制強化について

・一時保護所職員逮捕を受けた後の検証と今後の対策について

昨年12月に発覚した一時保護所における未成年女性に対するわいせつ行為事件についての検証とその後の対応について質問します。

この事件については、皆さんご存知の通りですが、私のメールの方にも県民のみなさんからも怒りの声と児童相談所への不信の声が届けられており、私も同様に許せない気持ちでいっぱいです。

12月議会で高田議員からも質問をされていますが、

この事件の容疑者の浅野紘平は2020年4月に県の社会福祉士の専門職で採用されています。同年11月より一時保護課で勤務していたと聞いています。

この事件は、2021年9月に被害者である少女より第三者を通じて被害の相談があり、発覚しました。

その後11月16日浅野紘平容疑者が児童福祉法違反で逮捕され、12月6日同容疑で起訴されています。

行為は2021年5月から8月に数回にわたって行われ、宿直勤務中に施設内の部屋に女性を呼び出すなどしていたと報道にあります。

所内移動した11月の勤務からなんと半年もたたないうちの犯罪という事になります。

一時保護所に保護されている保護児童は、様々な事情をかかえ、心に傷を負っている場合も少なくありません。まして、保護を必要としている児童がこのような犯罪に巻き込まれ被害者となってしまった今回の事件は、言語道断であります。レイプは心の殺人とまで言われ、被害女性の人生を狂わせてしまうかもしれないのです。

一時保護所で行われた行為に対して、私は怒りが収まりそうにありません。

相談所の責任は大変重く、徹底した検証と対策を求めたいと思います。

12月議会では高田議員の質問に対して、本人の倫理観の問題、他の職員については職務規定の徹底研修、一時保護者の職員体制の見直し、被害児童への支援など答弁されています。

加害者が逮捕され起訴されておりますので、詳しい調査は警察の方で行われ、裁判になると思いますが、児相として児相内で起こった問題についてどのような検証を行ったのかお伺いします。

まず、加害者は宿直勤務の際に、女性を施設内の部屋に何度も呼び出し、わいせつ行為を行ったとされていますが、どこに問題があったとお考えなのか。ただ単に本人の倫理観の問題だけでは片づけられないように思います。

日ごろからの人間関係はどうなっていたのか、他の職員は本当に気づけなかったのか?

問題が発覚して後、加害者が逮捕されるまで2か月余りの間、児相では、どのような調査を行ったのか、全ての職員に対して事情を聴いたのか、また、他の保護児童についてどのような対応をされてきたのかお聞きします。

・児童相談所の今後の取り組みについて

さて、12月14日には福祉環境委員会において志場福祉環境部長がこの問題について陳謝し、再発防止に努めると話されています。

私は、先ほど児相の責任は重いと申し上げましたが、それぞれの職員が責任を果たしていなかったとは思いません。児相職員は、それこそ毎日夜中まで対応に追われ、仕事をされています。

そんな中で起こった今回の事件です。職員一人ひとりに責任はあるとまでは言いませんが、児相という大変重要で、なくてはならない職場を守り、二度とこのような事件が起きないようにするために体制を変えていかなければなりません。

そこで今後の児相の取り組みについて何点かお聞きします。

県では新規事業として児童相談所の体制強化として、職員の増員、専門性の向上、職員の心のケアを挙げられています。一時保護所の夜間の見回り等でも職員の不足が招いた今回の事件ということもあり、職員の増員は必要なことです。

しかし、浅野容疑者が事件を起こしたのは採用されて1年少しの期間であります。

今回、専門職の大幅な採用をお考えのようですが、今回の事件を教訓に、採用時の人物の見極めと新人研修の見直しを行う必要があるのではないでしょうか。

そこで、採用時の人物の見極めをどうしていくのか、新人研修をどのように進めていくのかお伺いします。

また、新政策にも職員の心のケアも挙げられています。ストレスやプレッシャーのため体や精神に支障をきたす若手職員がいると聞いています。

そのような職員を早期に把握し、定期面談等を行いながら体制を強化するとしていますが、若手職員がなんでも相談できるような体制を希望しますが、具体的にはどのような内容でしょうか。お伺いします。

また、通告があって48時間以内に安全確認を行っているのですが、緊急性の高いもの、時間をおいても大丈夫といった優先順位を振り分ける機関が必要ではないでしょうか。

米国では、郡などごとに一か所24時間体制のホットラインで通告を受理し、州政府のデーターにアクセスするなどの調査と初期アセスメントを行い、調査介入的に入るものと支援に入るものと対応を区分けしているとの事です。

私が調査したカナダにおいても24時間のホットラインを設置していました。

私は「子ども通告窓口の一元化」を導入すべき時期に来ていると思います。

県においても、そのような体制を整え、トリアージ機関を外部委託する方向を導入してはどうでしょう。ご見解をお伺いします。

児相の業務は、高い専門性を有する責任の重いものであると思います。

緊急対応、児童の保護、その後のケア、一人一人に違う事情がありその対応に追われています。

限りある時間にしなければならない業務が多いため、虐待にいたった保護者への親支援やひとり一人の子供への継続したきめ細かいサポートなどが難しい状況にあると思います。

そのような、ソフト面での支援のメニューを一緒に伴走していただけるNPO などの民間の方々との協働をもっと進めていくべきだと思いますがご見解をお聞きします。

また、一時保護所の環境整備・体制の見直しの中で、児童の意見形成・意見表明支援としてアドボケイトが全児童に面談を行うとしています。

アドボケイトとは聞きなれない言葉ですが、児童の意見を代弁する人(弁護士、臨床心理士、社会福祉士等)のことを指しており、児童と面談して児童の代わりにその声を伝えるという事業だということです。

この事業を取り入れようとした動機とどのように実施していくのかお伺いします。

答弁者 福祉保健部長

今回の事件に関しましては、令和3年9月24日に第三者からの情報提供を受けた後、9月27日から当該職員や他の職員、被害児童や他の児童に対し聴き取り調査を開始しました。

被害児童に対しましては計3回面談し被害状況を確認するとともに、当該職員につきましては計5回の聴き取りを行いました。当初、当該職員は不適切な関係について否定しておりましたが、10月1日に事実であると認めたため、同日海南警察署に通報したところです。他の児童に対しましては「当該職員を含む一時保護所職員から嫌なことをされたことがないか」「他の児童が困っていたり嫌がっていることを見聞きしたことがないか」等について聴き取りを行いました。他の職員に対しても「当該職員のわいせつな行為を見聞きしなかったか」「なぜ気づけなかったのか」等について聴き取りを行いました。

県としましては、それらの聴き取り調査の結果も踏まえ、事件の発生原因や改善すべき点を整理したところです。

事件が起こった原因としましては、当該職員が一時保護所職員として当然持ち合わせるべき倫理観に欠けていた点と、夜間の職員体制について、職員配置が十分でなかった点が挙げられると考えます。

事件後すぐに、職員に対しマニュアルや職員服務規程について再徹底するとともに、夜間の見守り体制に関し早急に改善を図ったところです。

答弁者 福祉保健部長

現在、児童相談所においては、児童福祉司、児童心理司等の専門職を計画的に増員しているところです。

 児童相談所の業務は、虐待を受けた児童のためのトラウマケア、虐待を行った保護者に対する養育機能回復のための支援など高い専門性が求められます。また、一時保護所においても、様々な特性、年齢の児童に応じた処遇スキルが必要であり、経験の浅い若手職員の育成は喫緊の課題となっています。そこで、日々の業務の中でOJTを徹底するとともに、ロールプレイや事例検討を交えたより実践的な研修を、勤務年数や職種に応じて体系的に実施し、職員の資質向上に努めているところです。

 職員の心のケアに関しましては、令和3年12月に県職員のメンタルケアを行っている公認心理師が中央児童相談所を訪問し、希望する職員に対しカウンセリングを行ったところです。

今後も定期的に公認心理師が訪問するとともに、職員が抱えるストレスやプレッシャーを早期に把握し、課題解決に取り組む体制を強化するため、若手職員に対し課をまたいだ先輩職員が定期的な面談を実施するなど、職員の心のケアとモチベーションの向上に注力してまいります。

 民間団体との協働のご質問につきましては、虐待を受けた児童を家庭復帰させるにあたり、児童相談所が保護者に対し面接指導することに加え、子育てスキルや保護者自身のストレス管理等に関する「親支援プログラム」も実施しており、その中で民間団体が有する専門性も活用しているところです。今後も社会福祉法人やNPO法人等民間団体のノウハウやスキルを発揮できる業務について検討してまいります。

 虐待通告窓口に関しましては、児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律により児童相談所、市町村等と定義されています。児童相談所や市町村に寄せられた虐待通告については、共通の虐待リスク評価ツールを活用し、一時保護が必要とされる事案は児童相談所、在宅での支援が可能な事案は市町村が対応するよう責任の所在を明確にし、役割分担を徹底して取り組んでいるところです。加えて、平成30年度には全市町村と「和歌山の子・みまもり体制に関する協定書」を締結し、地域での見守り体制を一層強化したところです。

虐待事案の初期対応については迅速かつ的確に行う必要があるため、今後も児童の安全を最優先に、引き続き市町村と連携して取り組んでまいります。

 最後に、ご質問のアドボケイト事業につきましては、来年度から一時保護した全児童に対し実施することとしております。児童相談所職員が児童の意見を十分聴くことはもちろんですが、児童の支援に直接携わっていない外部の弁護士や社会福祉士等が一時保護所を訪問し、児童と個々に面談して児童の意見を代弁することにより児童の権利擁護を進めることが重要だと考え、導入を決めたところです。また、児童と面談を行う者に対して、児童の意見形成や意見表明支援にかかるスキル等に関する研修についても実施してまいります。

再質問

児相の体制強化について

虐待のニュースが毎日のように報道されている昨今、件数も右肩上がりに増加している現状です。

今回の事件は絶対許されないことであり、二度と繰り返されてはならない事件です。

ただ、児童相談所の業務をもっと改善し、風通しの良い職場にすることも再発防止につながることだと思います。

これを機会にさらなる改善を求め続けていきたいと思っています。

質問3. 子ども達がスマートフォン等を安全に活用していくための教育について

私達の社会は、今やインターネットはなくてはならないものとなっています。

パソコンももちろんですが、なんといってもスマートフォンの普及が、私達の生活を大きく変えています。

今や、お財布よりもスマートフォンがなければ生活できないようになっています。

スーパーでお買い物もスマホフォンで済みます。学校の連絡網や友達同士の連絡は、ラインで行われています。

色々なチケットを購入するのもスマートフォンです。調べ物もスマートフォンでOKです。パソコンがなくてもスマートフォンで事が足りるそんな世の中になっています。

いつでも、どこでもスマートフォンがあればインターネットが使えます。

しかし、とても便利で、簡単で、お年寄りから生まれて間もない赤ちゃんまで触れているスマートフォンが大きな社会問題をもたらしています。

インターネットによる被害は子どもだけではなく大人にも及んでいますが、今回は子供社会がどのように変化してきているのか、その影響はどうなっているのか。

子ども達がネット社会で生きていくためにどのような事に気を付けていかなければならないのかといった点について質問します。

コロナ禍の影響のため5年間で整備しようとしていたGIGAスクール構想が前倒しとなり、2年余りの間に全ての児童生徒にタブレットが配布されました。タブレットを用いた授業の研究が盛んにおこなわれ、出席できない生徒が家庭においても授業が受けられるようにオンライン授業が開始されました。

コロナ禍においては、インターネットがより身近なものとなり、やタブレットが子どもの生活に深く入り込む結果となりました。

しかし、インターネットによるプラスの面は言うまでもありませんが、それと同時に様々なマイナス面もあぶりだされています。

文部科学省初等中等教育局児童生徒課の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」2021年10月13日公表によると

小・中・高校・特別支援学校を合わせたネットいじめの認知件数は、年々増加してきており、2020年度は18870件を数えています。10年前が2992件ですのでその増加の幅がお分かりになると思います。

SNSでは、ネットいじめが多様化しています。

ネット掲示板の学校裏サイト、ID晒し。

電子メールによるなりすまし、メアド悪用。

LAINによる悪口、既読無視、未読無視、LINEはずし、5分ルール。

インスタグラムによる中傷投稿、

ツイッターのさらし。

フェイスブックの嫌がらせ投稿等々、内容も多様化し、SNSのもたらす弊害は枚挙のいとまがありません。

一般社団法人ソーシャルメディア研究会代表で兵庫県立大学准教授・竹内和雄氏が和歌山県の子ども達の実態を報告されています。

スマホを用いて、インターネットを利用している実態として、平成30年度調べによると、4歳で56%、5歳で68%、6歳で66%、7歳で69%、8歳で71%、9歳で77%と報告されています。

インターネット利用の低年齢化がコロナによってますます加速している実態が報告されています。

和歌山県の子ども達はインターネットにどのぐらい接しているのでしょう。

「家で一番すること」を%で表した調査資料よると、小4でネットが26.4%。学年が高くなるにつれ高くなり、中1年で51.9%、中2で63.5%、中3で76.7%、高1で75.7%、高2で81.3%、高3で76.6%とテレビやネット以外の遊びを引き離しています。

ネットの接続時間も4時間以上接続している割合が学年によっては2割を超えているといった状況です。

4時間以上ネットを利用している児童生徒は、朝食をとらない割合が高い、就寝時間が12時を超える割合が高い、イライラする、勉強に自信がない割合が高いという報告もあります。

また、ネットで一番することをみると、動画を見る、オンラインゲームをする、SNSとで占められており、勉強というのは1割も満たない結果となっています。

特に女子の場合は、ゲームより動画やSNSの占める割合が高く、女子の特徴が出ているように思います。

このような実態から竹内和雄氏は、コロナ禍においてインターネットの影響はますます高まっており、インターネットを使っている時間が長いほど、危険な状態になっていると警告しています。

文部科学省は児童生徒に身に付けさせたい情報活用能力の目標を「教育の情報化の手引き」を示しています。

小学校では、「文字入力、電子メールの送受信、電子ファイル保存・整理やインターネットの閲覧等を身に付ける。様々方法で文字や画像などの情報を収集し、調査、比較することを身に付ける」といった基本的な操作方法を学習していきます。

中学校では基礎的な操作に関する知識を深めるとともに課題を解決するために自ら効果的な情報手段を選んで必要な情報を収集するとされています。高校ではさらに高度な情報活用能力を身に付けていきます。

このように今の子どもたちは学校教育の中で操作方法を学んでいますが、インターネットを利用するためのルールやマナーについては、学ぶ機会が限られているといった状況です。

スマートフォン等の利用に潜む危険性は多岐にわたっています。子ども達を被害者や加害者にしないためにも、発達の段階を踏まえた丁寧な指導が必要だと考えます。

そこで、現在のネット社会において、子ども達がスマートフォン等を安全に活用していくために、県教育委員会はどのような対策を講じているのでしょうか、お伺いします。

答弁者 教育長

スマートフォン等は、子供たちにとっても身近な存在であり、便利な一面がありますが、長時間利用による生活習慣の乱れや、ネット上でのいじめや誹謗中傷等、課題となる面を持ち合わせています。

 こうした中、県教育委員会では、令和元年に医師や大学教授、PTA関係者等で構成する「学校における依存症等対策有識者会議」を設置し、翌年、児童生徒がスマートフォンやゲームへの依存について正しく理解し、依存状態に陥らないために、どう取り組むかの提言を頂きました。

 それを踏まえ、授業等で活用できる啓発資料や学習資料集、動画教材等を発達の段階を考慮して作成し、県内すべての公立学校に配布するとともに、県教育委員会ホームページに掲載し、積極的な活用を促しています。

 さらに、スマートフォン等の望ましい利用に関しては、保護者の理解・協力が重要であることから、子供とじっくり話し合い、家庭でルールづくりをすることを推奨しています。そのため、保護者向けリーフレットを作成し、保護者懇談等の機会において周知啓発を行っています。

 また、スマートフォン等を介した対人関係やコミュニケーションのトラブル等についても、児童生徒が一人で悩むことのないよう、「子供SOSダイヤル」や「LINEを活用した教育相談」等の相談窓口を開設しています。加えて、県が開設している県内の青少年を対象としたネットトラブル専用の「わかやまネットトラブル相談窓口」についても周知を行っています。

 今後も、児童生徒が学びを通じて自分自身で考え、スマートフォン等と上手につきあっていく力を身につけることができるよう、作成した各種教材等を効果的に活用したり、外部講師から指導助言を得たりしながら、発達の段階に応じた指導の充実を学校、家庭と一体となって進めてまいります。

再質問

ご答弁ありがとうございました。

近年はスマートフォンに接する年齢の低年齢化に驚くばかりです。

先ほど紹介した内閣府調べのインターネット利用率では、0歳児でも11.5%、1歳児で33.7%、2歳児で62.6%3歳児66.5%と乳幼児の増加が目立っているという結果です。

生まれてすぐにスマートフォンに接している実態が浮かび上がってきます。

教育だけでは対応できないような状況もありますが、「無知が一番の問題」だとも言われていますので、社会全体で状況を共有し、スマートフォンの利活用を進めていければと思います。

最後に

最後に質問ではありませんがコロナ対応でご苦労されている皆さんに感謝の気持ちを申し上げたいと思います。

まずは、オミクロン株の猛威の前に、亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げます。

私も2月7日にコロナ陽性と判明し、自宅療養を余儀なくされました。公表されたため、支援者の皆さんからも心配の声もいただき、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

私の場合は、熱も37.5℃が一日出ただけで、本当に軽症で収まり回復に向かったのですが、その間、保健所の方から安否を確認する連絡を毎日いただきました。「熱はどうですか」、「体調はいかがですか」と連絡が入りました。

感染者が爆発的に増加している中、一人一人に安否確認の連絡をする労力は大変なものだと思います。本当に頭の下がる思いでした。

病院からはコロナの薬を処方していただき、調剤薬局から薬剤師さんが家まで薬を届けてくれました。

県のほうから食料が届きまして、自宅療養するのに十分な量が入っていました。

何から何までお世話になり、そのためにどれだけの皆さんが働いておられるのか思うと感謝の気持ちでいっぱいです。

保健所の対応が取りざたされていますが、コロナを経験したことで、保健所や関係の皆さんのご苦労が少しでも分かってよかったと思います。

保健所に努めている友人は、「もう大丈夫か。コロナは急変することがあるから気を付けて」と電話があり、本人はそれこそ休日返上、夜も9時10時と残業しているのです。

この経験が県の公衆衛生の充実に一石を投じることができれば、幸いと感じています。

最後にコロナ禍においてご苦労されているすべての皆さんに感謝を申し上げ、一般質問を終わります。

ありがとうございました。

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