一般質問

【2008年2月県議会一般質問】

「和歌山県議会2月定例議会」の報告

三位一体改革から地方分権について

(1)三位一体改革の評価について
(2) 地方分権について

Q.先輩、同僚議員の質問と重複する部分もあろうかと思いますが、ご容赦いただき、議長のお許しを頂きましたので一般質問を行います。
まず、今議会に上程されている議案の当初予算から見る三位一体改革の影響と地方分権についてお伺いします。
県の予算は歳出規模5112億円、それに見合う歳入予算は5050億円ということで収支不足62億円を県債管理基金の取り崩しによって補填するといった大変厳しい予算編成いなっています。
県の予算規模を見ていくと平成15年から20年まで5年連続マイナスであります。年々縮小され20年度は15年度から比べて710億円もの減額です。
特に15年度から16年度は国の三位一体改革によって臨時財政対策債、地方交付税を合わせた286億円がいっきに減額されています。その後、臨時財政対策債、地方交付税は毎年減額され、15年度予算と比べると、500億円もの地方交付税・臨時財政対策債の額が減りました。
平成15年度から20年度までの間の県税収入は、所得税から住民税への税源移譲や景気回復による法人二税が増収されましたので、276億円増なりましたが、この間、地方交付税等が445億円減らされていますので、差額である170億円は明らかに減収となりました。
また、本県の財源規模は残念ながら自主財源が4割、地方交付税、国庫支出金等の依存財源が6割と国に大きく依存しています。本年は6年ぶりに臨時財政対策債と地方交付税がプラスとなりましたが、退職手当債などの増加で県債発行額は3年連続で増えています。また、臨時財政対策債も国が手当てをするという条件で借金をしているわけですが、5年経過をすれば順次手当てするという約束も実行されず、臨時財政対策債の償還のためまた、臨時財政対策債を発行するという、借金を借金で返すということになりました。
このように地方いじめとも言える三位一体改革は、当時、国と地方の財源配分だけの問題ではなく、真に地方分権改革実現への第一歩となる改革であると主張され進められたものでありました。その当時、政府は改革の第一歩は少々苦しくともきちんと税源移譲を行い、中央集権ではない地方分権の政治を進めるのだと国会でも答弁をされたと認識しています。しかし、その後5年が経過しましたが、地方分権は遅々として進みません。現在の地方自治体の疲弊は目を覆うばかりであります。地方分権は地方が自由に使えるお金を増やすことなしに成立しません。
そこで、知事に、過去行われてきた三位一体の改革を現在どのように評価されているのか、まずお伺いします。
また、富が東京に一極集中しているといった格差の中で、今のままでは地方の予算は縮小していくばかりです。国に使い道の決められている予算を下さいというのではなく、知事のすべきことは、国と地方の税の配分の是正を求めていく、地方が地方の必要に応じて、自由に使えるような予算の仕組みを求めていくことだと考えます。
昨年の6月に地方6団体と地方分権推進連盟が求めた「地方にできることは地方で」といった地方分権についての意見はほぼこの言葉に集約されていたものと認識しています。そういったことを前提に、地方分権についてどのように考えているのか、知事のご見解をお伺いします。

A.三位一体の改革の評価について、でございますが、私は、その意気込みは地方の自立性を高めるものでありましたけれども、実は地方の裁量を高めるという点では十分ではないと思いますし、削減された補助金に見合うだけの税収入が得られない本県のような地方自治体に対して、さらに財源保障機能を果たすべき地方交付税が大幅に削減された結果、全国どこの地域に暮らしていても日本国民として受けるべき必要最小限の行政サービスの提供ですら和歌山県においては支障はきたしかねない状況に至っているという認識をしております。
次に、地方分権についての見解でございますが、その実現には、まず、国と地方との役割分担の徹底した見直しを行って、国が責任を持つべき分野とそれから地方が責任を持つべき分野、これを明確にすることが大事だと思います。それとともに、国が責任をもつ分野については、地方に負担をかけずに遂行する一方、地方が責任を持つべき分野については、責任に見合った財源が確実に保障される制度設計が必要であると考えております。
全国知事会などとも連携し、県民にとって、どのような地域に暮らしていても勇気と希望がもてるような、そういう地方分権改革となるように、今後も必要な主張を行ってまいりたいと考えております。

(3) 道路特定財源(暫定税率)にかかる問題について

Q.自主財源の乏しい当県にとって、三位一体の改革でこうむった被害はまことに深刻であります。国会のほうではまさに暫定税率をめぐる議論がなされているわけでありますが、暫定税率はそもそも期限法であり、暫定を続けるかどうかは期限の切れる時点で真剣に議論されることは当然のことであります。
県としては三位一体の改革でこの5年間で500億円減額され、またぞろ120億もの予算が減額されるということになれば、いい加減にしてくれという気持ちになるのは当然であります。
しかし、暫定税率に関わる動きの中で、廃止反対に向けて知事が先頭で行っていることはまさしく、県民に対する脅しではないでしょうか。
県が説明しているパンフレットの中身は、道路特定財源の暫定税率が廃止されれば、それこそ危険な道路の改修も通学路の整備も災害の救助もできない、助かる命も助からない、ビジネスチャンスも生まれない等々何もできなくなるのオンパレードです。
税金で立派なパンフレットを作成し、道路協会が作成したチラシは市町村によっては市町村の広報紙と一緒に全戸配布まで行われました。世論を二分している政策について、脅しをかけて人心を惑わすのは、県民の生活を預かる知事としては如何なものでしょう。
知事は和歌山県のホームページで「いずれにしても全ての情報を出して国民や県民の正しい判断を期待するのが正道です。一方的な情報(今回の場合は『税金を下げてガソリン代を下げよう』)だけを流して、その影響を知らない地方の人々を誘導していくというのは邪道です。せめて県政だけは全ての情報を提供して、偽りのない行政をしたいと思います。」と述べられています。
しかし、知事の述べられていることと、チラシの内容には大きな乖離があると考えます。
暫定税率の廃止にともなう影響はもちろんあるでしょう。しかし、経済活動のマイナスは暫定税率が廃止されることだけで生じるわけではありません。
暫定税率が継続されることによる影響も大きいものがあります。ガソリンの高騰や生活用品、食料品の値上げで県民の生活が圧迫されていることも事実であります。農業、漁業の一次産業始め、運輸業など企業活動も様々な形で圧迫されています。このままでは消費の動向にも大きな影響が出始めると考えられます。県民に判断を求めるのであれば論議されている両方の意見を併記することが知事としての見識であると考えます。
知事は納税者である県民に対して、収められた税金が、適切に使われるよう予算の使い方を決めるという大きな権限を持っています。知事の権限は絶大であります。
それゆえに知事は財政の苦しい中でも、県民の生活をより豊かに、安心して暮らすことができるようにと知恵を出し、当初予算を組まれたことと思います。行財政改革を積極果敢に取り組まれています。何もできないというのは極論であります。
県民を脅すのではなく、安心して暮らすことのできる政治を求めていく姿勢こそ示すべきだと考えます。高いガソリン税や自動車にかかるさまざまな税金を納めている納税者に丁寧な説明をすべきです。県民に対しては「県として、何としても県民の皆さんの生活を守ります」とおっしゃるべきです。
国には、県民の生活を守るためにしっかりと主張すべきことは主張していただきたいと思いますが、県民に対して知事の行われていることは国土交通省の言い分を代弁しているとしか思えません。県民の中には知事の言動に違和感を持っている方が大勢おられます。私は、県民に選ばれた代表の一人としてとして、県民の皆さんの幅広い意見を聞いていただきたいと思います。知事の見解をお聞きします。

A.次に道路特定財源、あるいは暫定税率に関する問題につきましては、私の知事としての立場が問題ではないか、というようなお話がございました。それについてお答えを申し上げたいと思います。
まず、藤本議員は、これは県民に対する脅しではないでしょうか、とおっしゃいました。それから、パンフレットなどで危険な道路の改修も通学道路の整備も、災害の救助もできない、助かる命も助からない、ビジネスチャンスも生まれない等々何もできなくなる、のオンパレードであるというふうにおっしゃいました。議場からはそのとおりやないかと、というようなお話もありましたが、脅しをかけて人心を惑わすのは、県民の生活を預かる知事としては如何なものでしょうか、というふうにおっしゃいました。
私は間違ったことを言って人を惑わすということは絶対いけないと思います。だけども、私は申し上げていることの、どこが間違っているのでありましょうか。正しいことを県民にお伝えしなきゃいけないのは、知事としての責務であると私は思います。
第2にせめて県政だけは全ての情報を提供し、偽りのない行政をしたいと思います、と私は県民の友に書いていただきました。本当にそう思っています。で、チラシの内容には大きな乖離があるというふうに考えます、とおっしゃいましたけれども、どこに偽りがあって、それで全ての情報を私は提供しようとしているのにどこにその偽りがあるのか、是非、お教え頂きたい、というふうに考えております。
それから3番目のガソリンの高騰や生活用品、食料品の値上げなどで県民の生活が圧迫されている。そのとおりであります。和歌山県の県民は、なかなか長い不況がありました。なかなか皆さん苦しいわけです。で、みんな生活にあえいでいる方が多い。で、そういうときに、じゃあどういうふうにしたらいいか。それに対してガソリン税の値下げが全てである、というふうに聞こえました。で、それに対して、また一方的なことだけ申し上げますと正しき問題ですから、全てのことを申し上げますと、確かに生活が苦しいのですから、ガソリン税の値下げを致しますと、消費者の方々は、なにがしか追加的な所得があると思います。その結果、一般的な経済は消費需要が喚起されると思いますので、その分だけ浮揚すると思います。ところが経済学の教えるところによれば、有効需要というのは消費だけではなくて、当然投資もあります。我々の資産によれば、公表しておりますのが、実は私どもは減税された分マイナスになったお金、そのマイナスにならなかった部分も、実は県債等々でずっと昔から膨らまして、それで投資に充てております。従って、消費が増える分よりも、投資が減る分の方が大きいわけであります。仮に投資が、消費の拡大と同じであったとしても、経済学の教えるところによれば、それはそれの一体分だけ景気が悪くなる、ということなのであります。従って和歌山県の困っている県民は、喜んで良くなると思ったら、実は景気がもっと悪くなってしまう、ということもまた申し上げないといけない事実なのであります。真実を語って何が悪いのか、そういうことを、申し上げたいと思っております。
また、運輸業などで困っておられる人のことを考えないのか、というような感じのお話がございました。で、私は困っておられる方はものすごくたくさんおられると思います。しかしながら、もし仮に燃料代が安くなって、コストが下がった時に、そのコストが果たして中小企業の、輸入業の手元に残るのでありましょうか。経済の取引というのは市場で行われています。例えば荷主の方がもうちょっと力が強かった時に、お前のコストが下がったんやね、ほんなら値下げしてくれへんか、と言われてどういうことになるのでありますか。これは中小企業も同じであります。それが和歌山県にとっては、まだ、力のない和歌山県にとっては悲しい現実ではないかというふうに思います。で、その時に誰がこの問題を補償してくれるのでありますでしょうか。そういうことも考えておかなければいけない。甘い言葉だけで県民を惑わしてはいけない、というのが県知事としての責務ではないか、というふうに思います。
次に高いガソリン税や自動車税にかかる様々な税金を納めている納税者に丁寧な説明をする、であります。正に丁寧な説明をしているのであります。どこが丁寧ではないのでありましょうか。25円値下げのできますとしか言わないチラシを配るよりも、うんと丁寧ではないかと、いうふうに私は思います。
それから、県として、どんなことがあっても、何としても県民の皆さんの生活を守りますというのが筋ですと、おっしゃいました。暫定税率が廃止されても、そういうふうにおっしゃれというのでありましょうか。県民に偽りを言えとおっしゃるのでありまようか。私はかけ声だけの無責任な知事ではありません。真実に口を挟むような知事であってはいかんと思います。今の東京となら、私はそれができると思います。なぜならば、最近、法人事業税が、がっばと入りましたから、ずいぶん懐は豊かです。何年間ぐらいは特定財源が来なくなってもそれは繋いで見せると、ということは言えます。だけど一昨日ご報告申し上げましたように、和歌山県では大変な財政危機にあって、それでこれから5年間に県の職員を千人ぐらい切らないといけないと、切るというのは言葉が悪いですが、人員削減をしなければいけないと、こういうような状況でございます。どういう気持ちでああいうことをしなければいけないと、そういうことをやろうとしているのか、ということを是非ちょっと考えていただきたいと私は思います。そういう時に、良心のある人に、どうして私は何としても、どんなことがあっても、県民の皆さんの生活は守ります。すなわち、道路もちゃんと造ってあげます。他のところは影響出ません。大丈夫です。どうしてそんなふうに言えるのでありましょうか、ということでございます。
それから、国土交通省の言い分を代弁しているとしか思えない、とおっしゃいました。閣議決定をひっくり返して、和歌山県立医大の定員を国から取ってまいりました。それから地デジで総務省を震撼させております。国の責任だと言ってです。そういう知事に言う言葉でありましょうか。
それから違和感を持っている方も多いというお話でした。実は、これはそうだと私は思っています。党利党略で、違和感を持っている人ばかりでは決してないと思います。というのは、やっぱり言われたくない、もっと甘い言葉を言ってもらいたい、という気持ちが県民の皆さんみんなにおありだと思います。だけど甘い言葉を言っていても、もしそれが真実であるとすれば、いつか現実が担って、我々の生活に跳ね返ってきます。それをこういうふうになると思いますよと言って事実をお伝えするのは、県としての私の責務ではないかと思います。
それから幅広い意見を聞くのは如何ですか、ということをおっしゃいました。実はそのとおりであります。幅広い意見は、いつでも歓迎をいたしております。私は和歌山県を愛しておりますけれども、党利党略はありません。私の知らない真実があれば、それは私がその真実の部分を受け入れる、ということは全くやぶさかではないのでございます。

三位一体改革から地方分権について

(1) 食品表示について
(2) チェック体制と措置について
(3) 県としての検査について

Q.昨年の世相を表す漢字は「偽」ということでありました。不二家、ミートホープ、白い恋人、赤福、吉兆と毎日といって言いぐらい食品偽装問題に揺れ動き、食品についての信頼は大きく失われたと同時に、県民は食品表示に大きな不振を抱きました。
このような事から県として食品の適正表示について、どのような対策をとられたのか。また、食品偽装のチェックを強化していく必要があると考えますが、今後どのような対策をされるのか、食の安全を所管する環境生活部長にお聞きします。
次に、今年に入ってもJTフードやCOOPの中国製餃子からメタミドホスが検出され、それに関連した天洋食品の冷凍食品を扱っていた大手企業は自主回収を行いました。またもや食物に関する安全が揺らいでいます。
食物の安全は県民の命に繋がる重要なことであり、メタミドホス、ジクロルボスなど有機リン系農薬がいつ、どこで、どのようにして混入されたかは関係機関の捜査による早期の真相解明を待つものであります。
わが国の食料自給率はカロリーベースで39%と多くの食品を輸入に頼っています。市場には多くの輸入された野菜類や加工食品を始め、ありとあらゆる様々な食品が流通しています。野菜については残留農薬、加工食品にあっては食品添加物や遺伝子組み換え作物の使用など消費者にとって不安になるところです。
このような輸入食品を含め国内流通食品の問題に対して、現在どういったチェックをされているのか、また、健康被害につながる有害な物質が発見されたときは、どういった措置をされているのか、更に今後、県としてはどのように検査をされるのか、あわせて環境生活部長にお伺いします。

A.食の安全に関する3点にご質問にお答え申し上げます。
まず、食品表示につきましては、わが国では食品衛生法や、JAS法等、複数の法律により表示が義務づけられておりますが、事業者にとりましても、複雑な規定となっております。議員ご指摘のように昨年から頻発した食品の偽装表示により、消費者の信頼が著しく損なわれたことから、食品関係事業者等への注意喚起を行い、施設監視指導におきまして適正表示を指導いたしております。食の安全タウンミーティングあるいはシンポジウム等で消費者への情報提供に努めているところでございます。
新年度からはJAS法の所管を現在の農林水産部から私ども環境生活部に移しまして、食品表示に対しましては一括して対応していきたいと考えております。また、各事業者に対しましては、食品表示に精通した食品表示推進者を養成する新たな制度を創設いたしまして、適正な表示を促すことといたしております。
次に輸入食品の検査について、でございますが、輸入食品の検査は、国の検疫所におきまして書類審査や抜き打ちによるモニタリング検査あるいは違反の蓋然性の高い食品につきましては検査命令により、輸入業者に検査を実施させているところでございます。
しかしながら、国の検疫所における検査について18年度では輸入総件数輸入総件数185万件のうち検査をいたしましたのが、その1割程度の20万件にとどまっている実情でございます。このため。現在国におきましては、その件数を少しでも増加させるべく体制整備等の検討に入っていると伺っております。
県におきましては、輸入食品を含めまして県内で流通しております食品について、食品監視指導計画に基づきまして残留農薬や食品添加物等の検査を実施しているところでございます。平成20年度は、970検体、18350件の検査を予定しております。そのうち輸入食品につきましては、検査割合を現在の1割程度から2~3割程度に引き上げるとともに、適正かつ迅速に検査できる体制整備にも努めてまいりたいと考えております。
また、違反を発見した場合は、当該食品の廃棄、回収等の措置を業者に行うとともに、名称等を公表いたしまして、健康被害の拡大防止に努めております。
今後とも、県民の皆様の食の安全確保のために、より一層の取組を行ってまいりたいと考えています。

学校給食について

Q.食の安全に関わって、学校給食における食育についてお伺いします。
県は19年の3月に「食育基本法」および「食育推進基本計画」の趣旨を踏まえ、和歌山県の特色を活かした食育を総合的かつ計画的に推進するための指針として「和歌山県食育推進計画」を策定されています。
石塚左玄著「通俗食物養生法」の中で「学童を養育する人々は、体育、知育、才育はすなわち食育にあると考えるべきである」と食育の重要性を述べており、食育基本法は「生きる上の基本であり知育、徳育および体育の基礎となるべきもので、様々な経験を通じて『食』に関する知識と『食』の選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」としています。
食育の重要性が示されたのですが、今の時期に、食べることについての法律ができるということ自体、食料自給率の問題も含めて、食の危機は深いと考えるべきだと考えます。
朝食を食べないという児童生徒の増加、夕食を塾の帰りにコンビニですます、一人で食べる個食の増加等々子どもたちの食の実態は大きな偏りを示しています。県では「食育推進計画」を作成し、取組を進められていますが、掲げている数値目標のハードルは高いものがあります。残念ながら和歌山県の学校給食実施状況は全国でも低い水準であります。
特に中学校の実施状況が低く、全国平均が90.7%に比べ52.2%大きく差を開けられています。朝食を食べずに登校し、昼は菓子パン等で過ごし、夕食は塾に行くのにコンビニ弁当で済ますといった実態もあり、成長期の生徒の食は大変憂慮するものがあります。
学校給食は当該の市町村が責任を負うものでありますが、県教育委員会として見解と設置されていない市町村に対してどのような支援や指導を行っていくのか、教育長にお聞きします。
また、学校給食の中でも、食品の安全についての危惧の声が広がっています。成長期にある子どもたちが毎日食べる学校給食に、地元で取れた安全な食材を使っていただく、地産地消が強く求められています。
紀北地域は食料自給率が60%を越える地域であります。その中で紀の川市を中心に有機農業生産者の方々の積極的な働きかけの中で、学校給食にいち早く地産地消が取り入れられています。私も打田中学に視察に行かせていただき、給食の様子を見せていただくとともに給食を頂いてきました。使われている野菜は誰それのおじいさんであるとか、今日の献立は栄養的にはこういったことであるとかが、給食の情報がきちんと提供され、生徒たちは給食をとても楽しみにしている様子でした。生産者の顔が見える、食材と調理する人の顔が見える、献立を決める人の顔が見える給食が実施されていました。
そこで教育長にお伺いします。全県の市町村で地産地消を推進していくべきだと考えますが教育委員会としての計画をお示しください。

A.学校給食につきましては、児童生徒の心身の健全な発達に資し、食生活の改善に寄与するということを目的に、学校教育活動の一環として位置づけられております。
子どもたちは、毎日の給食の時間を通して、食事のマナーや栄養のバランスのとれた食事の取り方などを習慣づけることができ、この学校給食を「生きた教材」として活用することで、子どもたちに望ましい食習慣が身に付くと考えております。
給食未実施の中学校につきましては、これまでも、設置者であります市町村に実施を呼びかけまいりまして、その結果、昨年から辺市や紀の川市でも開始をされるなど、徐々に広がっております。
今後も、さらに学校給食の意義を啓発し、実施率の向上につなげていきたいというふうに考えております。
次に学校給食への地場産物の活用は児童生徒が食材を通して地域の自然や文化、産業等への理解を深められたり、生産に携わる人々の苦労に触れ、食に対する感謝の気持ちを育む上で大変重要であると考えてございます。
これまでも、こうした観点から、積極的な活用を啓発してきたところであり、地元農家等と連携した給食に取り組む学校や給食センターも増えてきております。
「食べて元気、わかやま食育推進プラン」におきましても、学校給食における地場産物を使用する割合を、平成23年度までに40%に増加させる、こういう目標を掲げておりまして、今後も積極的な地場産物の活用を推進してまいりたいと考えます。

国体をきっかけにしたスポーツ振興について

Q.県では平成27年度開催予定の第70回国民体育大会を見据え競技力の向上と生涯スポーツの振興、さらには学校体育の充実、子どもの体力向上、スポーツ施設の整備等を図るため10年間を見通した基本計画としています。
国体開催を目標に当初予算にも、青少年の体力・競技力向上の予算が上程されています。中学校に専門コーチ、選手育成強化合宿に強化コーチの招聘、高校にもエクセレントコーチ、ゴールデンキッズの発掘プロジェクトと昨年の倍の予算が組まれました。
競技力向上のための選手を育成するのに指導者が必要なことは言うまでもありませんが、どの競技の指導者がどこで指導を行うかということを視野に入れる必要があると思います。
新たに招聘する指導者をどういった形で、どのように活用しようと考えているのかお伺いします。
教育委員会は競技会場の確保を進めるよう準備をしていますが、皆さんご存知のとおり本県公共スポーツ施設の老朽化は著しく、現有施設では到底対応できません。施設を新たに整備する場合は国体終了後も地域住民のスポーツ活動の拠点として広く活用していく配慮が必要と計画の中にも明記されています。
そこで、現有施設では対応できない競技について、県として具体的に新たな施設の建設をどのように考えているのか、また、現有施設では対応できないが予算的な面で建設は無理であるとする競技についてどのように対応するのか、お聞きします。
平成18年のスポーツ生活実態調査によるとスポーツをしない理由について、どこで何をしているのか知らない、身近に施設や場所がないというのを合わせると20代から70代まで平均して3割から4割の比率です。
国体に向けての準備をきっかけに、県民がスポーツに親しみ、スポーツ人口の広がりと競技の幅の広がりにつながるような取組をしていただきたいと考えるものです。
県民の皆さんが身近でスポーツが行えるような取組をどのように進めていかれるのか、お伺いします。
学校教育の中での体育のあり方についてお聞きします。
県の体力調査によると子どもの体力は1985年ごろをピークに各種目とも低下してきており、先日、多田議員が指摘されたように本県の低下の状況は、全国に比べて深刻な状況になっています。
また、学力の格差も問題でありますが、同時に体力格差も大きくなっています。日常スポーツ活動をしている児童生徒としていない児童生徒では、大きな差が生じています。
外遊びが少なくなり、室内や野外でもゲーム等で遊ぶことが多くなっており、全体的に基礎的な運動能力の低下も顕著であります。
ゴールデンキッズ発掘プロジェクトもある意味必要な取組と考えますが、児童生徒の体力の底上げも大変重要です。子どもの体力の現状と今後の取り組みについて、お聞きします。
以上教育長にお伺いします。

A.国体をきっかけにしましたスポーツ振興についてお答えします。
第70回国民体育大会に向けての指導者の確保、活用につきましては、今月中に設置する予定の「競技力向上対策本部」の中に「強化育成・指導者専門委員会」を組織しまして、優秀な指導者の養成・確保を進めていくこととしています。
議員ご指摘のとおり、指導者の活用につきましては、地域における強化拠点の整備を進めまして、スポーツに対する熱意と指導力のある人材を広く県内外から招聘し、学校運動部や地域のスポーツクラブなどにおきまして強化活動を定め、効率的な育成・強化活動を行うとともに、小・中・高の一貫とした指導体制によりまして、計画的な指導者の配置を行っていくこととしてございます。
国体に向けての施設整備につきまして、昨年9月の準備委員会で承認された「競技施設整備基本方針」では、可能な限り県内の既存施設や近畿各府県の施設の有効活用に努め、施設整備を行う場合は、県として喫緊に必要な施設に限定するとともに、国体後においても地域住民に広く活用されるよう配置することとしております。
今後、県と市町村及び民間が連携・協力し、適切な役割分担のもとに、競技施設の整備を進めていく予定でありますが、老朽化した県有施設の活用できる県立学校体育施設の整備計画を具体的に策定していくこととしてございます。
次に、国体開催を契機とした県民スポーツの振興につきましては、スポーツに対する気運高め、スポーツの実施率を向上させるため、いつでも、どこでも、だれでも身近な地域でスポーツに親しめるよう総合型地域スポーツクラブの設立・育成の推進をしてまいります。
総合型クラブにつきましては、現在、13市町村において25のクラブが活動中ですが今後、全市町村に少なくとも1つを設立し、地域の実情に合った活動が展開されるよう積極的に推進することとしてございます。
また、スポーツ参加の機会を知らせるということが重要でありますので、ホームページの充実や広報誌など各種のメディアを通じて、県内の身近なスポーツ情報を発信してまいります。
なお、「わがまちのスポーツ」として、各市町村が地域の活性化などをめざし、それぞれの地域で推進する特色あるスポーツに親しむことができる環境を整備していく予定でございます。
次に学校教育の中での体育のあり方につきましては、子どもの体力を向上させることとスポーツを好きにさせることが基本的な体育の使命であると思っています。県では毎年児童生徒の体力・運動能力テストを実施しております。その中で、平成17年度は55.1%であったテストの実施率が本年度ほぼ100%となっております。そこで、その結果等を有効活用するとともに特別活動などを学校教育全体でその特質に応じた指導を行うよう体育主任会等で助言をしております。
さらに、教員の指導技術の向上を図るために、小学校、中学校、高等学校の教員を対象に毎年実技指導講習会を県内数ヶ所で開催をし、その充実に努めてございます。
また、「きのくにチャレンジランキング」事業ともつなげまして、早い時期から運動に親しむ習慣を育て、元気でたくましい子どもの育成に努めてまいりたいと考えます。

若年者の雇用について

(1) フリーターと呼ばれる非正規雇用者の雇用の安定について
(2) 「地域若年者サポートステーション」の進捗状況と今後の対策について

Q.05年の1.26%から06年の1.32%と少し上昇したものの、低迷を続けており、少子高齢化の波は止まりそうにありません。少子化対策として子育て支援はすすめなければなりませんが、少子化対策の前に結婚できない若年層の広がりが少子化の原因だという指摘している本もあります。
県の平成17年の就業状況調査による推計値として15歳から34歳までの若年者の就業状況の推計はアルバイトやパートなどフリーターと呼ばれる非正規雇用で働く人数は14000人あまり、ニートは5700人あまりと推計されます。あよそ2万人あまりが不安定な就業形態となっており、県の15歳から34歳の住民基本台帳人口1割にあたります。安定した仕事が保障されてこそ、将来への生活設計が成り立ちますが、今よく言われる年間所得が200万以下では結婚も出産も夢のまた夢であります。
雇用問題は日本の社会の将来の問題であります。このまま、推移していけば後10年後、20年後、少子化はますます進み、高齢者と税金を納めることのできない県民が増え、年金問題どころか将来の社会設計ができなくなります。
国では『フリーター25万人常用雇用化プラン』を進めており、いわゆる年長フリーターについて、トライアル雇用から正社員に採用した場合、若年者雇用推進特別奨励金が事業者に落ちる仕組みになっています。この制度で15歳から34歳までの人口のフリーターは若干減少していますが、全体的にフリーターと呼ばれる非正規雇用者は現在増加傾向が続いており、抜本的な救済にはなっていません。
就職氷河期の世代プラス、規制緩和による派遣労働枠の拡大によって生じた非正規雇用の若年者の存在は、いわゆる社会や政治が生んだ社会問題と考えるべきだと考えます。
今こそ、非正規雇用を正規雇用に切り替える抜本的な対策が必要です。
フリーターと呼ばれる非正規雇用者の雇用の安定について商工観光労働部長にお聞きします。
ニートの問題はフリーターの問題と若干違いがあるかと思います。県内に5700人いると推計されています。全国的には、ニートはその4割が不登校を経験していると言われています。教育委員会の調べによると小学校で不登校になった児童は、中学校においても登校できず卒業する確率が大変高いという状況であります。中学校卒業時では全日制や定時制に進学する生徒は66%、25%の生徒が進学も就職もしていないという実態です。基礎的な学力をつける、人間関係を作る、社会性を養うといった小中学校時代を不登校という形で集団生活を送れていない人間が、社会に出て出会う困難は創造にかたくありません。
また、ニートの中には引きこもりであったり、発達障害であったりと人間関係の構築が大変難しい状態の方もいます。
平成18年度からニート対策として厚生労働省が「地域若者サポートステーション」運営を始めていますが、議会でも、多田議員の質問の回答の中で、設置について鋭意検討を進めていると答弁されています。
「サポートステーション」はニートの方の就労支援を基本に運営されると聞いています。しかし、就労の意欲を高めるためには一人ひとりにあった相談活動や人間関係作りが大変重要であると考えます。せっかくの「サポートステーション」がニートの皆さんの支えになるような存在にしていただきたいと思いますが、商工観光労働部長に進捗状況をお聞きします。
また、ニート対策は雇用推進課だけの問題ではありません。ニートの4割が不登校を経験しているというのですから、教育委員会との連携も必要です。また、青少年課では引きこもりの居場所作りや社会体験の実施などを通じてニート問題に取り組んでいます。
情報の共有や効果的な取組のためにも縦割でない横の連携が必要と考えますが、今後の対策について商工観光労働部長にお伺いします。

A.若年者雇用の2点について、お答えします。
まず、フリーター等若年者の雇用の安定につきましては、県経済の活性化や少子化対策などを図る上で、大変重要と認識しており、新長期総合計画におきましても、教育委員会との連携を図りながら、対策を進めていくこととしてございます。
現在、県では「ジョブカフェ・わかやま」を若年者の就職支援拠点として、ワンストップで様々なサービスを提供しているところであり、本年度は新たにジョブナビゲーターを配置し、巡回相談の充実を図ったところでございますが、新年度におきましても、インターネットを活用した支援体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
更に、県立産業技術専門学院における職業能力開発や、和歌山労働局等関係機関と連携した各種企業面談会の開催などを通じて、若年者の雇用の安定に努めているところでございます。
次に、「地域若年者サポートステーション」について、でございますが、近年、社会問題となっております、いわゆるニートと呼ばれる若者を就労へ誘導するための支援拠点として設置するものであり、若者の自立促進の有効な手法であることから新年度の重要施策と位置づけ、開設に向けて取り組んでいるところでございます。
また、運営にあたりましては、民間団体や教育、保健、福祉等の関係行政機関によるネットワークを構築し、一人ひとりの状況に応じた継続的な支援を行ってまいりたいと考えております。

障害者雇用について

(1) 県の障害者雇用対策の現状と今後の対策について

Q.最後に障害者雇用についてお伺いします。
障害者自立支援法の改正により障害者の就労支援の充実に向けての施策が始まっています。
厚生労働省は「福祉から雇用へ」推進5カ年計画を示し、「就労支援事業」を全国展開するとともに全都道府県において「工賃倍増5カ年計画」による福祉的就労の底上げも図っていくとしています。
県の産業技術専門学院の総合実務課で4月入校生の卒業生を送り出しますが、全員の一般就労が予定されていると聞き喜んでいます。
しかし、それは障害者のごく一部であり、多くの皆さんは就職の道を閉ざされています。
全国的には、養護学校の卒業者12000人のうち55%の方が福祉施設へ入所し、そのうち就職のために施設を出た人は年間1%という状況です。和歌山県においては0.46%で全国ワースト2位です。
企業の法定雇用率の取組は、平均すると一応クリアしているものの法定企業の半数が障害者雇用をしていません。それに加え精神障害、知的障害の方々の雇用はもっと厳しいものがあると聞いています。
障害者雇用の問題は福祉で手当てし送り出す部分と雇用促進を進める部分とハローワーク的な部分とそれぞれの役割が機能できるようにしなければなりません。
そこで商工労働環境部長にお伺いします。県として障害者雇用を進めるためにどのような取組をされているのか、現状と今後の対策をお聞きします。

A.障害者の雇用対策についてお答えいたします。
県では障害者就業・生活支援センターを計画的に整備し、障害者の求職活動支援や、企業に対する雇用管理に関する助言など、身近な地域で職業生活を継続できるよう、生活面を含めて一体的に支援しているところでございます。
なお、センターにつきましては、本年度伊都地域と東牟婁地域に設置したことにより、県内5地域になり、障害者が等しくサービスを受けることができると考えております。
また、障害者の自立に向けた職業能力向上への取組といたしまして、障害者の態様に応じた職業訓練の実施や技能競技大会アビリンピックを開催しているところでございます。
今後とも、広く啓発活動を実施し、社会の理解と認識を高め、障害者の雇用促進に努めてまいりたいと考えております。

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