一般質問

・これからの県立高等学校のあり方について

おはようございます。二日目の一番目の質問ということですが、昨日佐藤議員が質問されたことと少し重なる部分もありますが、ご容赦いただき、質問をさせていただきます。しばらくの間ご清聴よろしくお願いします。

第6期きのくに教育審議会からこれからの県立高等学校のあり方についての答申が出されました。高等学校が地域と共に持続可能な存在であるためにという副題がつけられています。
15名からなる審議会委員の皆さまには大変なご尽力をいただき答申をまとめていただいたものと推測し、感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

答申では、「更なる生徒数減少への対応」と「高等学校教育の充実」の二つを大きな柱として、出生数から予測可能な15年を想定して答申を取りまとめたとあります。
県教育委員会においては15年後を想定した県立高等学校のあり方や再編整備にかかる本答申を踏まえ、今後、どのような段階を経て整備していくかという事について広く県民の理解を得ながら、本県教育の一層の充実・発展に向けた不断の取り組みを進めることを期待するものであるとしています。

答申では大きな改革を提言されました。これを受けて県教育委員会は現在の高校再編の道筋を具体的に示していかなければなりません。
8月に出された答申ですので教育委員会としてはこれからの作業になってくると思いますが、今回それに先立ちいくつかの点について意見なり質問をお願いしたいと思います。

毎年、和歌山市中学校PTA連合会から和歌山県高等学校入学者選抜実施についての要望が議会と教育委員会に出されています。
その中では、県立学校選抜試験の全県一区制度が行われてから17年経過しましたが、その弊害が毎年指摘され、改善が求められてきました。私も2013年に全県一区という学区制の問題について質問をいたしました。
弊害について、改めて申し上げるまでもありませんが、和歌山市においては、全県的に学力的に高い生徒は和歌山市内の人気のある学校に進学を求め、学力的に低位とされている生徒は和歌山市内の高校に進学が叶わず、和歌山市外の高校に進学せざる得ない状況になっています。
ちなみに人気の高い高校では約半数が和歌山市以外からの生徒で占められているという状況です。

また、昔は、それぞれの地域に根付き、地元の名門と呼ばれた個性的な学校が今や県下の高校の序列の中に組み込まれ、その中で地域の誇りすら持てないような状況になっています。
選抜試験の範囲を全県一区にしたため、高校間格差は広がり、高校の個性化、多様化を図るという目的は成し遂げられなかったといっても言い過ぎではないと思います。

保護者によく聞くのは、「うちの子、勉強いっこもせえへんので、行く学校ないわ」という言葉です。中学校の進路指導は点数で高校を割り振りし、それこそ点数に届く高校にと進路を導きます。

高校間格差が厳然と存在する中で、保護者も中学校も地域も偏差値による普通科志向から脱皮することができない現実をまず念頭に、高校再編問題を根本から考えるべきだと思います。

先日改新クラブの会派で串本古座高校に視察に行ってまいりました。串本古座高校となって、今年は初めての卒業生を送り出しました。
定員360人という規模の高校で、現在の生徒数は219人と答申のいう適正規模には届いていないのですが、その内容は大変素晴らしく、これからの高校のあり方を考えるうえで大変参考になると考えます。

少しご紹介したいと思います。古座串本高校では1年生は全員同じカリキュラムを学びますが、2年生から3つのコースに分かれていきます。
地域が持つ自然・文化・歴史などをそのまま教材に活用し、将来的には故郷の活性化に貢献できる人材を育成する地域・未来創造コースのグローカルコース、専門学校、短期大学を中心に多様な進路希望に対応するクリエイティブコース、国公立、私立を中心とした4年制大学への進学、難関の高等看護専門学校、国家Ⅲ種・地方初級の事務職などを希望する生徒に対応するアドバンスコースとあります。
2年生で3コースに分かれるため、その時点で自分の進路について考え、選択をすることになります。
また、串本古座高校ならではの大きな取り組みとして、学校の魅力化と地域人材の育成のため、「地域丸ごとキャンパス構想」という取り組みが行われています。
串本町・商工会・古座川町・町教育委員会・漁業組合・観光協会・森林組合・JA等町の全ての団体を巻き込んだ串本古座高等学校地域協議会が設立されており、串本古座高校の地域丸ごとキャンパス構想の取り組みを支えています。
串本古座川両町の役場、近隣に所在する官公庁・民間企業やトルコ大使館など様々な機関が協力しながら串本古座高校の生徒の活動を支えています。
例えば、スキューバーダイビング(科目マリンスポーツ)、長期インターンシップ(科目串本デュアル)や地域の福祉施設と連携した介護職員養成(科目介護福祉)など地域の持つ魅力を活用した特色ある授業を展開されています。
このような授業を展開するために地域と学校を結ぶコーディネーターが二人配置されており、外部関係機関との折衝や探求的な学習活動のファシリテーションにかかる業務、外部指導者や施設設備の発掘とマッチングなどの業務を担っていただいていました。
昨日佐藤議員のご紹介していましたが、新しい学習支援の場として放課後の「くろしお塾」も展開されていて、今年度は進路指導の充実、地元中学生を対象として漢検・英検の実施、高大交流や文化的行事を実施しているとのことでした。

今年は取り組みを始めて初めての卒業生を送り出していますが、地域に魅力や愛着を感じ、地域の発展に貢献したいという目的意識を持った生徒が以前に比べて増えている。また、進路選択の面でも意識の変化がみられると校長先生がおっしゃっていました。

今、佐藤議員もおっしゃっていたように地域と共にある学校が求められています。
高校教育の未来は、偏差値による序列化ではなく、それぞれの学校の特徴を生かした学校づくり、地域の特色を生かし、自分の地域に誇りと愛情のもてる人材の育成が欠かせないものと考えます。

そのためには保護者も教育委員会も高等学校も変わっていかなければなりません。

そこで何点かお伺いします。

答申では大胆な改革を提言されています。
これからの人口減少が進む中、高校再編は致し方のないことだとの理解は得られると思います。ただ大同小異で再編には同意しても、それぞれの高校には歴史、伝統がある中で、具体的に高校を減らすとなると納得していただくのは困難を要することが予想されます。

そこで、答申を受け、教育委員会としての信念と、今後どのような形で進めていくのかお伺いします。

先ほどから串本古座高校の事例を紹介させていただきました。
答申では4つのエリアごとに普通科、商業科、工業科、農業科、総合学科などのあり方が記載されていますが、普通科志向の強い中、今後の普通科のあり方と専門学科をどのような形で設置していくのがよいと考えているのか見解をお聞きします。
特別支援学校についても言及されていますが、高等特別支援学校の新設についての考え方をお聞きします。
学力的にしんどい生徒たちや不登校などで集団での学習に不安のある生徒たちの受け皿は現状では昼間・夜間定時制や分校などが進学先になっていますが再編整備される中では、どのように教育を保障していこうとしているのか、お伺いします。

答弁

答申を受けて、信念と今後の進め方でございますが、人口減少が進み、活力の低下が懸念される本県にとって、「地域社会を担う人材の育成」は大きな課題です。それには、和歌山の子供 たちを和歌山で育てるという思いのもと、地域に応じた高校の在り方を検討し、地域社会の持続的な維持、発展に繋がる魅力的な高校を、それぞれの地域において整備していくことが大前 提と考えています。今後、県立高校の在り方を具体化していく中で、議員御指摘のとおり、総論では賛成でも、詳細については様々な意見が出 てくることは十分に予想されます。県教育委員会といたしましては、本県の将来を担う子供たちへの責任を果たすという立場から、「どこの学校が残るのか、な くなるのか」という議論にとどまらず、大局的な立場から県全 体の議論を深めていかなければなりません。どの地域の方々にも、県全体のこととして捉えていただけるよう、理解を求めて いきたいと思っています。答申に示された15年後のあるべき姿に向けて、今後どのよう な段階を経て整備していくかについては、早急に「再編整備実 施プログラム」にまとめてまいります。年内に案を作成し、パ ブリックコメントを経て、年度内に策定することとしています。なお、実施プログラムの作成に当たっては、9月末から10月中 旬にかけて、PTA、同窓会などの学校関係者や一般の方々を対象として、県内5会場で地域別懇談会を開催することとしています。多くの方々とともに議論を深め、和歌山県の明るい将 来展望に繋がる実施プログラムの策定に繋げてまいりたいと考えております。

普通科高校、専門学科高校、それから高等特別支援学校の新設等についてお答えをいたします。高校生の約7割が学ぶ普通科の教育においては、根強い普通 科志向の中で、どの高校で学ぶかということよりも、「合格できる高校・学科選び」が優先される傾向にあり、このことが高校入学後の学習意欲に少なからず影響を及ぼしているという問題 があります。今後は、この現状を改め、適性や興味関心に基づいた高校選びへ転換していかなければなりません。一方、専門学科の教育においては、これまで培ってきた各学 科の専門性を担保するとともに、これからの時代を見据え、高度で専門的な技術や知識を身に付けた人材を育成していくことも求められています。そのため、レベルの高い専門教育を担う 拠点校や、紀北と紀南に多様な専門教育を受けることができる 高校を整備していくことが必要になります。また、議員御指摘のとおり、支援を必要とする生徒への学び の保障についても重要であると考えています。答申に示された ように、軽度の知的障害のある生徒の一部を対象に、職業教育 に特化した高等特別支援学校を設置することや、不登校や発達 障害等により、義務教育段階での学びが十分にできていない生 徒を対象として、「学び直し」に特化した教育を行う少人数学級を設置することなどについて検討し、全ての子供が活躍できる 教育環境の整備を進めることが必要だと考えています。

・災害時における避難所のあり方について

近年の災害は毎年大きな被害をもたらします。
2018年の台風は和歌山も大きな被害を与え、強風による停電は広範囲にわたりました。
関西国際空港の橋脚の崩壊は記憶に新しいところです。
また、令和元年東日本台風は東海・関東・甲信・北陸など広範囲にわたって大きな被害をもたらしました。各地で河川の氾濫がおこり、死者91人にものぼっています。
このように地震、台風などの災害が毎年のようにおこる状況で、どこでどのような災害が起こるか他人ごとではありません。
先日の台風10号も近年にはない大きな台風でありました。

このように誰もが被害にあうという中で、今回は避難所のあり方について質問したいと思います。

日本でいう避難所は、体育館などの床に段ボールやマットを敷いて毛布で寝ている大勢の被害者の姿が想像されます。
このような避難所の姿は、欧米先進国ではありえない様子であると、新潟大学大学院の特任教授の榛沢和彦氏が指摘しています。

榛沢教授は、2004年の中越地震の時に、車中泊をしている方が大勢なくなられ、その原因がエコノミー症候群ではないかと推測し、調査を始めたと話されています。
エコノミー症候群とは窮屈な姿勢で長時間いると血の流れが悪くなり、血管の中に血の塊ができる病気です。血の塊がはがれ、血管の中を流れ、肺に詰まると肺塞栓などを誘発するといわれています。血栓は足にできた段階で治療すればいいのですが、放置した場合、肺・脳・心臓への血栓のリスクを高めることになる怖い病気です。

榛沢教授はその後も避難所を調査され、避難所でたくさんの血栓のある方を発見し、避難所の環境が影響していると確信したとおっしゃっています。
岩手・宮城内陸地震の際に、人がいっぱいで雑魚寝している避難所と広々として日常に近い生活をしている避難所を比べたそうです。日常に近い生活をしている避難所の方に血栓は見つからなかったと話されています。
長期の避難になった場合、せっかく助かった命を、雑魚寝状態の避難所の中でなくすことになっては、なんのための避難であったのか問われることになります。
また、避難所には主に体育館などが利用されるが、環境が変わることで過度なストレス、エコノミー症候群の発症、健康二次被害の問題等が取りざたされ、経験された人からは過酷で劣悪な環境であると言われています。
1998年人道憲章と人道対応に関する最低基準、通称スフィア基準が設けられています。
「人道憲章、権利保護の原則、コア基準」の3つの共通の土台と生命保護のための必要不可欠な4つの要素が示されています。

1給水 2食料の確保と栄養  3シェルター、居留地、非食糧物資  4保健活動 これらの各分野における最低基準を定めています。
例えば一人当たりの居住空間は最低3.5平方メートル、トイレは20人に一基、男性1対女性3の割合で設置などがあります。災害に合われた方々にストレスなく快適に過ごしてもらうための世界基準と言われています。

コロナ禍の避難ということになれば、三密を避けなければならない状況で、なおさらこれまでの避難所の環境を考え直さなければならないと考えます。
毎日新聞調べによると新型コロナの感染拡大を受けて、地域防災計画を修正したと回答した自治体が9自治体あるとのことです。
県としても、新型コロナに限らず、集団感染に備えた防災計画の見直しを検討されているとお聞きしています。世界基準と言われているスフィア基準も参考に見直しを行っていただきたいと要望します。

近年、避難所の中にダンボーベッドを設置する市町村が増えてきています。コロナ禍ではパーティションも用意されている避難所も増えてきました。しかし、被災した方全員に段ボール製簡易ベッドが用意されているのでしょうか。プライバシー保護のためのパーティションや女性のための授乳室や更衣室も必要だと思います。
県は要請があれば協定している段ボール会社に発注し、市町村に配布するというスタンスと聞いていますが、それでは時間を要するのではないでしょうか。
やはり避難所ごとに標準化した数の備蓄が必要かと思います。
どの場所でも、被災された方全員に段ボールベッドやパーティションの迅速な配布ができるよう対応をしていただきたいと思いますが、どのように進めておられるのか、お聞きします。

コロナ禍をきっかけに過酷な避難所を改善する必要があると痛烈に感じています。
ソフィア基準を参考に、まず避難所の一人当たりの面積の問題を改善する必要があると思います。また、コロナ禍後の避難所は空間を必要とするため、避難できる人数に限りがあると思いますが、今の避難所だけでは避難できない被災者も出てくると思います。県としてどのような対応を検討しているのかお聞きします。

次に避難所での食事についてお聞きします。
私たちはテレビ等で、避難された方がパンやおにぎりをもらっている姿やお弁当を配っていただいて食べている姿を見ています。避難所ではそれが当たり前かと思っていました。
しかし、欧米では避難所では食事を作ることが必須となっているお聞きしました。というのも食事は調理してすぐ食べるのが安全で美味しいからだということです。これはごく当たり前のことですが、日本では栄養学的に飢餓にならないために炭水化物だけあればよいと考えられているようです。
イタリア避難所の様子に詳しい榛沢教授は、欧米の避難所では食事の重要性は単に栄養摂取というだけではなく心理的な効果も考慮されていると話されています。
被災して疲れ切った人たちが温かい、おいしい食事をとればきっとホッとして励まされるでしょう。逆に冷たい味気ない食事を毎日提供されたらきっとみじめな気持ちになるでしょう。
欧米は徹底的に人間中心、ヒューマニズムのある避難所運営をしていると言われています。かたや日本では管理中心となり、人間らしい食事を提供するといった視点が欠けていると言わざるえません。緊急のことだから仕方がないという考え方を変えていかなければなりません。

地域の避難訓練の際にはよく非常食が配布されることがあります。日本の被災した時の食事は非常食でということが一般的になっており、被災した時も温かい食事をという発想ができていません。被災した直後は致し方ないとしても長期にわたる避難所での食事はそういうわけにはいきません。
イタリアでは、災害があり、避難所が開設されたときはキッチンカーが即座に被災地に駆けつけるようになっているという事です。しかも食事を作るのは専門職ボランティアで、発災した直後から温かい食事が提供されると聞いています。

かたや日本では、炊き出しについても避難者の中から人員を確保するとあります。これからの生活をどうしようと不安な中で避難している方々が、毎日の食事を担当しなければならないとしたら、その心労ははかりしれません。

まず、避難所での食事についてどのように考えているのか、また、食事の提供について、どのような取り組みを進められているのか、お伺いします。

避難所に必要な食材や物資、人材の提供に県は多くの事業者や団体と協定を結んでいるとお聞きしています。迅速な提供が必須だと思うのですが、どのぐらいの事業者や団体とどのような協定を結ばれているのか、お聞きします。

答弁

避難所の住環境を含めた運営方法につきましては、 過去の災害等の教訓や経験を踏まえ、「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」をその都度 改定し、市町村に対して助言を行ってきたところです。具体的には、避難所を開設した際の資機材として、 簡易ベッド、段ボールベッドやマット等の他、プライバシー 確保や女性への配慮として、専用スペースを設けるための 室内テントやパーティションなども加え、その整備を促し、「わかやま防災力パワーアップ補助金」により財政支援も 行ってきたところです。特に、パーティションについては、今般の新型コロナウイルス感染症を踏まえ、飛沫感染防止のための間仕切りとして緊急に全市町村に整備するため、県において一括で調達し、配布しているところです。 また、避難所における一人当たりの区画面積については、 議員から御紹介のありましたスフィア基準では3.5㎡と なっていますが、県でも従来から「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」においてほぼ同等の一人当たり3㎡、要配慮者にあっては一人当たり4㎡を確保するように 求めているところでございます。避難所に避難できる人数については、この一人当たりの区画面積と避難所の広さを勘案して判断することに なりますが、今回の新型コロナウイルス感染症の発生を 受け、感染症予防のため、世帯間で2mの間隔を設けるよう避難所内の配置基準の見直しをしたため、収容人数が減ることになります。その対策として、できるだけ多くの避難所の開設や新規の避難所の指定、さらには、ホテルや旅館等を活用する など、収容人数を増やす取組を市町村に働きかけています。 今後も、より良好な生活環境が確保された避難所運営と なるよう、市町村とともに取り組んでまいります。

避難所における食事については、発災直後3日間は、県、市町村、県民の3者が備蓄している食糧によりまかなう ことを基本方針とし、県、市町村で備蓄に取り組むと ともに、県民の皆さんにも周知しているところでございます。 それ以上、避難所生活が長期化する場合には、県や 市町村が食品関係企業等と締結している協定等に基づき、 お弁当などが提供されることとなります。これらに加え、炊き出しによる温かい食事が提供される ことは、多様な食事の提供に資するということや、 さらには、避難者の精神疲労を癒やすという意味からも有意義であるため、「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」において、炊き出し等の食事の支援体制の整備を市町村に促し、必要な調理器具等の整備については、 「わかやま防災力パワーアップ補助金」で支援を行っている ところでございます。多くの市町村では、炊き出しにかかる調理器具について、整備を進めており、必要となる食材については、地元スーパー等との協定等により調達し、調理を行う人材に ついては、避難所運営スタッフや自主防災組織等の地域の 住民の方々の他、ボランティアの方々にお願いすることとしています。県では、現在、食事や食材の提供をはじめ、災害時に 様々な分野で支援いただける関係団体等との協定を、237団体と締結しているところでございますが、今後は調理を行う人材やキッチンカーの派遣など、更なる協定の 充実を図りたいと考えているところです。今後も、市町村及び関係団体等と連携を図り、避難者へのよりよい食事提供が円滑に行えるよう取り組んでまいります。

・犬・猫殺処分ゼロの実現に向けての取り組みについて

近年、大変なペットブームでして、ペットの数が子どもの数より多いと言われています。
ペットをわが子のように可愛がる人も多く、子どもの話をしているのかと思いきや、ペットの話ということがよくあります。
我が家も盲導犬協会から譲渡していただいたラブラドールを飼っていますが、本当に可愛くて、彼が来たお陰で夫婦の会話も増えました。
でも結構お金がかかり、餌代や予防接種など病院代もバカになりません。ペットに係る産業は今後も右肩あがりではと思います。

5月晴れに恵まれたある日、紀美野町にある動物愛護センターの方にお邪魔しまして、様子を伺ってきました。動物愛護センターは平成12年に動物愛護、適正飼養の普及啓発を行う拠点として「人と動物が共生する潤いのある社会づくり」を目指して設置されました。
譲渡事業、動物愛護教室、体験教室、イベント事業、小学校における動物愛護教室の開催、調査研究等、様々な仕事をしていただいています。
職員の皆さんは本当に動物が好きで仕事をされているのだと思います。
しかし、残念ながら、令和元年の犬や猫の収容合計は2158匹、返還譲渡数は941匹、殺処分と自然死を合わせて1635匹となっています。そのうちの殺処分の件数は815件ですが、680件が猫で占められている現状です。
愛護センターの獣医師さんは「動物を救いたいと思って獣医になったのに」と殺処分をしなければならないと現状を嘆いていると聞きました。

犬や猫の保護活動を一生懸命されている知り合いの方で、ここは動物愛護センターかと思うぐらいたくさんの犬や猫を保護する活動をされています。
飼い主が高齢になり認知症のため犬の面倒を見られなくなり、家じゅう何十匹もの犬で大変な状況になっているといった相談もあるようで、汚れて糞まみれななった犬をすべて引き取り、汚れを落とし、きれいにした後、譲渡会を開き、飼い主を見つける活動などもされています。本当に頭の下がる思いです。
飼主が高齢になって世話ができなくなるなどの事例も増えてきており、ペットにとっても受難の社会だと思います。

先ほどご紹介した方のように動物が好きで、一匹でも殺処分を減らしたいとボランティアをしていただいている方や団体がたくさんいらっしゃいます。
子猫にミルクを与えるミルクボランティア、譲渡会を開催して保護犬を譲渡する活動をされているボランティア、一時預かりをしていただいているボランティア等熱心に取り組んでいただいていると聞いています。

このように熱心に取り組んでいただいている方々は別として、一般的に「不幸な猫をなくすプロジェクト」はなかなか周知されておらず、未だ野良猫に餌をやり続け、その結果、子猫がどんどん増えている状況もあります。
また、自治会の理解が得られず、取り組みが難しい例や手続きの書類が煩雑で住民の同意を得られないなど事業を進めていくうえで課題がたくさんあるように聞いています。

そこで環境生活部長にお伺いします。
平成28年に「動物の愛護及び管理に関する条例」を改正し、「不幸な猫をなくすプロジェクト」を開始されていますが、地域猫対策の現状はどうなっているか、お伺いします。
次に、県の動物愛護管理推進計画において、令和3年度における犬・猫の殺処分ゼロという数値目標を掲げていますが、その達成に向けてどのような取り組みを考えているのか、お聞きします。

答弁

野良猫への無秩序な餌やり等による地域の生活環境への被害防止や、保健所に持ち込まれ殺処分される猫を救うため、 野良猫を排除するのではなく、不妊去勢手術を行い、それ以 上増えないようにして地域で管理をしていく「地域猫対策」 が最も有効な方法であると考え、「動物の愛護及び管理に関する条例」を改正し、野良猫に不妊去勢手術を行うための費 用を全額助成することなどを盛り込んだ「不幸な猫をなくす プロジェクト」を平成28年度に立ち上げ、地域猫対策を推進してきました。これまで、広報紙や動物愛護フェスティバル等において、 県民に広く地域猫対策を周知するとともに、保健所の職員が市町村職員や県が委嘱する動物愛護推進員と連携しながら、野良猫による生活環境被害が発生している地域に出向き、住民や自治会に地域猫対策の必要性とその効果を粘り強く説明 して取組を促してきたところです。さらに、最近では、地域猫対策に取り組んでこられた方々 が、問題が発生している地域を自発的にサポートしてくださるなど活動の輪も広がっています。こうした取組の結果、地域猫対策は全県的に浸透し、現在 492の地域で延べ1,206名の方々によって、3,823 匹の野良猫が地域猫として管理され、猫に関する苦情や相談件数は、プロジェクト開始前の平成27年度の1,725件 から1,203件にまた、保健所に持ち込まれる所有者不明 の猫も2,579匹から1,786匹にとそれぞれ約3割減り、着実にその成果を上げています。

大変失礼いたしました。先ほどの答弁の中で、苦情や相談件数について、プロジェクト開始前の平成27年度の件数を 1,725件と申し上げましたけれども、1,752件の誤り でございました。失礼しました。それでは、犬・猫の殺処分のゼロを目指した今後の取組をお答えいたします。殺処分数を減らすためには、地域猫対策により保健所に持 ち込まれる猫の数を減らすことに加え、保健所がやむなく引き取らざるを得なかった犬・猫を可能な限り新たな飼い主に 譲渡していくことが重要です。そのため、議員御質問のとお り、生後間もない子犬や子猫への授乳やしつけを行ったり、新たな飼い主を探してくれる譲渡ボランティアの登録制度を設け、その活動を支援しています。現在、譲渡ボランティアは257名を数え、この方々の協力で昨年度は犬97頭、猫 295匹を譲渡することができました。これらの取組の結果、プロジェクト開始前の平成27年度 には2,750匹の犬・猫を殺処分していましたが、令和元年度には、1,100匹以上減って1,635匹になりました。引き続き、殺処分数を減らすため、より多くの方々に協力 していただけるように、現在、地域猫対策を行っていただいている方々だけではなく、地域で様々な活動をされている方 々にも働きかけるなど、譲渡ボランティアの更なる登録と活 動への支援を行ってまいります。さらに、地域猫対策に興味のある方々に向け、セミナーを各地で開催し地域猫対策の一層の浸透を図るとともに、飼い 方講習会やイベント等において広くペットの適正飼養と終生 飼養の普及を図ることにより、令和3年度末の犬・猫の殺処分ゼロを目指してまいります。

再質問

教育

1. ご答弁ありがとうございました。再編整備実施プログラムをまとめるのは、大変な労力が求められます。まして、地域に応じた高校のあり方を検討し、地域社会の持続的な維持、発展に繋がる魅力的な高校をそれぞれの地域に整備することが大前提であると考えているとの答弁であります。今の偏差値一辺倒の教育を変えていくのは並大抵のことではありません。そのためには教育委員会だけが奮闘してもなかなか前に進めることは難しいと感じます。
県民の意識を変える、学校や教師の意識を変える、子どもたちの意識を変えるための行動につながる再編整備をお願いしたいと思います。

2. 昼間・夜間の定時制や分校等が受け皿になっていると思われる学力的にしんどい生徒や特別支援に通う生徒、不登校等で十分な学びができていない生徒等がもれることのないような再編整備をしっかりと整えていただくことを強く要望しておきます。

避難所

1. 避難所の住環境もこのコロナ禍で見直しをすすめているとお聞きしています。発災し、避難所に避難した際に迅速にパーテションや段ボールベッド等が用意できるような準備が重要だと思います。また、市町村や関係団体との連携のもと各地域の防災訓練等で日頃より訓練していく必要もあると思います。
また、発災後の混乱した中での避難所の環境整備について備蓄も合わせ、できる限り迅速に整えられるよう要望します。

2. 食事についても避難所生活が長期化した場合、人材の確保が重要なことの一つです。調理を行う人材については、避難所スタッフや自主防災組織等の地域住民の他ボランティア等により、人材を確保するとしていますが、ある程度名前のわかる方には登録していただいた方がスムーズに進むのではと思います。54団体と協定を締結しているとのことですが、食材の調達や調理を行う人材につい
てもさらに協定を充実させたいとのことですのですので是非進めていただくよう要望します。

1.「不幸な猫をなくすプロジェクト」が開始されて4年が経過しようとしています。成果が上がっているとのことです。ただ、継続していかなければすぐに元の木阿弥になると言われています。
個人で続けるには、なかなか難しいことも多く、自治会等で地域ぐるみで取り組むことが一番効果があると言われています。

啓発と周知に力を入れていただき、一人でも多くの方のご協力を いただけるよう力を尽くして下さい。
よろしくお願いします。

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